同性愛者と公表していながら初めて連邦裁判所判事に就任したデボラ・バッツさんが3日、人工膝置換手術の合併症のためマンハッタン区の自宅で亡くなった。72歳だった。ニューヨークタイムズが5日、報じた。
1947年、ペンシルバニア州フィラデルフィア市生まれ。名門ラドクリフ大学を卒業後、ベトナム戦争やキング牧師暗殺などに影響を受け、社会正義を求めてハーバード大学で法律を学んだ。79年から連邦裁判所の検事。90年代に判事志願書を提出したが、同性愛者であることを公言していたことから、ブッシュ元大統領(父)が逡巡。続いたクリントン元大統領が94年、ニューヨーク州南部地区の連邦裁判所判事に指名した。同年6月のプライドウィークに宣誓就任を行い、以後25年間にわたり判事として活躍した。2007年には、冤罪事件セントラルパークファイブの元受刑囚からの損害賠償請求に対し、市が出した棄却の求めを退けている。
84年、黒人初のフォーダム大学法学部教授となり、判事になった後も教鞭を執り約30年間後進の指導にあたった。
連邦最高裁のソニア・ソトマイヨール判事は「不屈の精神と強い信念を持って正々堂々、真摯に生きた」と悼んだ。