連載306 山田順の「週刊:未来地図」 「新型肺炎」はいずれ収束する(中) 不安を煽る報道に惑わされてはいけない

致死率はSARSやMERSほどではない

 メディアが騒ぎ過ぎだと思うのは、新型肺炎がいくら未知のもとはいえ、これまでのことから、感染力は強いが、致死率がそれほど高くないからだ。日に日に死亡者は増えているが、いまのところ、すべて中国国内の感染者であり、また、高齢者や疾患(糖尿病や高血圧症など)を持った人間にほぼ限られている。
 しかも、感染しても必ずしも発症するわけではなく、発症しても免疫力によって自然に回復する。要するに「よく食べる」「よく寝る」で安静にしていればいいので、これは風邪を引いたとき、インフルエンザにかかったときと同じだ。
 人間に感染するコロナウイルスは6種類あるという。そのうち4種は、一般的な風邪の原因として知られている。残りの2つは、これまでアウトブレイクして騒動になったSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)とMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)だ。
 つまり新型肺炎を起こすコロナウイルス(2019-nCoV)は7番目の新種である。ただし、前記したように致死率は低い。2002~2003年に発生したSARSは、発症患者8096人のうち死亡者は774人(致死率約10%)。2012年のMERS(中東呼吸器症候群)は2494人のうち858人が命を落とした(致死率約34%)。それに比
べたら、新型肺炎の致死率はいまのところ2~3%ほどで推移している。

本当にコウモリが発生源なのか?人工説も

 今回の新型肺炎を引き起こした新型ウイルスの発生源はまだ特定されていない。これも不安をかき立てる原因だが、いまのところ武漢の市場で売られていたコウモリだとされている。
 SARSの発生源は、ハクビシンと特定され、その後、WHOの「終息宣言」によって騒動は収まった。だから今回も発生源が特定され、並行してワクチンの開発が進めば、騒動は収束に向かうはずだ。
 ただ、大手メディアは報じていないが、発生源はコウモリのような野生動物ではなく、人工的なものだとする見方がある。
 なぜなら、感染が最初に報告されたのは昨年の12月末で、この時期、武漢に生息するほとんどのコウモリは冬眠に入っていて、市場では売られていなかったからだ。
 武漢には、中国のバイオ研究施設「中国科学院武漢病毒研究所」がある。ここでは、世界中から集められたウイルスが培養され、生物兵器の研究も行われているという。ネットメディアでは、このことが取り上げられ、ある事件との関連性がささやかれている。
 昨年12月10日、ハーバード大学のチャールズ・リーバーという教授が、ボストンのローガン国際空港で逮捕された。逮捕理由は、「21種類の生物学的研究を中国に密輸しようとした罪」で、その後、この教授は起訴されている。さらに、この教授は武漢のある大学で講義もしていたというのだ。
 つまり、ウイルスは中国が人工的につくり出したものであり、それが今回誤って流出したというのである。
(つづく)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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