まったく信用できない東南アジア諸国
疑い出したらキリがないが、明らかにおかしいのは東南アジアの国々だ。
タイ35人(死者ゼロ)、ベトナム16人(死者ゼロ)、マレーシア22人(死者ゼロ)、シンガポール89人(死者ゼロ)はまだいいとして、ほかの国の数字はまったく信用できない。
*数字の出所:米ジョンズ・ホプキンズ大学CSSE
ベトナムやマレーシアにしても、当初発表された数からほとんど増えていないのは疑わしい。まして、これまで感染者ゼロとされるインドネシア、ミャンマーは、感染防止するどころか検査すらしていないはずだ。近年はバリ島にも大勢の中国人観光客が訪れている。
カンボジアにいたっては、クルーズ船の寄港を認め、下船客を観光バスツアーに招待するなど、危機意識ゼロ。そのため、下船客から感染者を出してしまった。中国カジノが林立するシアヌークビルにも、アンコールワットがあるシェリムアップにも感染症専門病院はないという。
WHOの専門家が警告しているように、感染者数と感染防止対策が信用できるのは、シンガポールだけだ。
おそらく、東南アジアでも今後、検査が進めば感染者はどんどん増えるだろう。それとも放置したままにし、他国で終息するまで待つだけなのか。
CNNのサイトで、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ氏が「われわれは明らかにパンデミックが起きる瀬戸際にいる」と述べている記事を読んだ。
彼は「感染源を特定できずに人から人への感染例が発生している日本や韓国の事例を見るならパンデミックが生まれつつあるともいえる」と指摘し、「このような国が多数となったら後の祭りだ」とも述べている
ついにニューヨーク株価が大暴落
ここまで書いてきたら、NY株価が1000ドルを超える大暴落となっているのを知った。PCの画面で週明けのNY市場の動きを見ていると、とうとうこうなったかと、ため息が出た(いまは、日付が変わって2月25日になったばかり。アメリカは24日の午前中)。
先週からダウの地合いは悪く、新型コロナウイルスの感染拡大を織り込んでいないのが不思議だった。サウジアラビアのG20で、各国が懸念を表明したことが引き金になったのだろうか。たしかに感染拡大の影響は大きく、IMFなどが試算しているように、世界の経済成長率は少なくとも1%は落ち込むだろう。
トランプは、これまで新型コロナウイルスの影響は一時的なもので春ごろには解消されると言ってきたが、いま、どう思っているのだろうか。いよいよ、ウオール街も楽観視では済まないと思い始めたのだろう。
投資家のリスク回避姿勢が一気に強まり、売りに転じたのがわかる。金が高騰している。
先週から、円安(ドル高)が進み1ドル=112円台になったが、日経平均はまったく上がらなかった。これまでの「円安=株高」という連動性は崩れた。
これは、外国人投資家が円を売っているからで、ヘッジファンドなどがHFTのプログラムを組み替えたからだろう。
日本株は官製相場である。とはいえ、もはや異次元緩和は限界に達している。この状況で、さらに緩和してカネを刷れば、どうなるかわからない。NY株暴落を受けて、日本も暴落するのは必至だが、はたして公的資金はどこまで買い支えるだろうか。
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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