ニューヨーク市のゲイコミュニティーを扱った作品を早くから発表し、同性愛の劇作家の草分け的存在だった劇作家のテレンス・マクナリーさんが24日、新型コロナウイルスの合併症によりフロリダ州サラソタで亡くなった。81歳。ウォール・ストリート・ジャーナルが24日、報じた。
エイズを扱った作品に1991年の「リップストゥギャザー、ティースアパート」、94年の「愛!勇気!思いやり!」では翌年のトニー賞やドラマディスク賞など主要な賞を総なめにした。「アンドレズマザー」(90年)と「マザーズ・アンド・サンズ」(2013年)は、ゲイを嫌う母親とエイズを患った息子を題材とした連作。多作で知られ、ミュージカル「蜘蛛女のキス」(92年)、「ラグタイム」(96年)の脚本も手掛けた。
ユーモアにあふれ、稀代のオペラ歌手、マリア・カラス(1923〜1977年)がジュリアード音楽院で行った授業を描いた「マスタークラス」(95年)は、マクナリーさんの人柄がにじみ出た作品といわれた。一行ジョークでパンチを効かせた「ザ・リッツ」(75年)や「イッツ・オンリー・ア・プレー」(82年)など喜劇にも優れた作品を残した。
エイズ禍を生き抜き、パートナーと結婚するまで長生きをしたマクナリーさんもコロナ禍に倒れた。演劇界は悲しみに暮れている。