マンハッタン区イーストビレッジのセントマークスにあったパンクファッションのメッカとして愛された洋服店「トラッシュ・アンド・ボードビル」で長年店長を務めたジミー・ウェッブさんが14日、マンハッタン区の自宅で、がんのため死去した。62歳だった。ニューヨークタイムズが9日、報じた。
金髪のシャグヘア、タトゥーを施した細長い腕と足、複数の銀製ブレスレットとレザーのベスト。自分はロッカーではなかったが、ロッカーの出で立ちを続け、ファッション誌、ボーグのスタイリストなどからも頼られた。「痛いパンツを履かなければ、ロックンロールではない」がファッションのモットー。常連客のロックミュージシャン、デボラ・ハリーさんは「ロックンロールのために生き、そして死んだ」と悼んだ。
1957年ニューヨーク州北部トロイ市生まれ。服を枕カバーに詰め込んで、ニューヨーク市にやって来たのは16歳の時だった。バーテンダーの使い走りなど雑用に就き、2000年からトラッシュ・アンド・ボードビルの店長を任された。17年に同店が引っ越すと同時に、同区ローワーマンハッタンのオーチャード通りに自分の店「アイ・ニード・モア」をオープン。今年2月には店の前で米ロックミュージシャンのイギー・ポップさんらが手形を刻む式典を催して、長年の夢を実現した。2年前にがんと診断されたが、他人に語ることはなかった。