ニューヨーク市内の超正統派ユダヤ教コミュニティーに、新型コロナウイルス禍が広がっている。ニューヨークタイムズが21日、報じた。
「影響を受けていない家族は存在しない」と声を落とすのはボローパーク在住のシューリム・ライファーさん(34)。「感染拡大は想像を絶するスケールだ」。同派の報道機関によると、これまでに700人が感染により死亡。
同派の教徒が多く住むボローパークでは、これまでに6000人の感染が確認されている。郵便番号を使った統計では、市内で5番目に感染者が多い地区だった。
超正統派は、宗教的指導者に頼り生活し、結束が固い。貧困に苦しんでいる家族もいるという。そうした特徴がコロナ禍であだとなっている。同派のための共同浴場は営業を続け、祭日や冠婚葬祭には人が集まっているという。これらの行動が社会的距離を守っていないとして外部から反ユダヤ感情を引き起こし、ますます同派は閉鎖的になり孤立する悪循環が生じている。
ただし、ユダヤ教最大の宗教団体、チャバッドの広報担当、モッティ・セリグソンさんは「ユダヤ教徒の大多数は、外出自粛を厳守している」と話す。それでも、コロナが蔓延するのは複数の世代が同居する同派の緊密な家庭環境やユダヤ教の礼拝所、シナゴーグで行われる集会が原因とセリグソンさん話す。「感染を拡大させないためには、同派の行動習慣から知る必要がある」と訴えている。