シナトラ「ニューヨーク・ニューヨーク」の誕生秘話 ロバート・デニーロが曲作りに貢献した過去も

 ニューヨーク市では毎日午後7時、人々が医療関係者の人に感謝の意を込め、路上や、自宅の窓や屋根から顔を出して拍手でエールを送っている。その時、どこからともなく流れてくるのが、フランク・シナトラさんが歌う「ニューヨーク・ニューヨーク」だ。ニューヨークタイムズが1日、報じた。
 この曲は1977年制作、ライザ・ミネリさんとロバート・デニーロさん主演のラブロマンス映画「ニューヨーク・ニューヨーク」の主題歌。ミュージカル「シカゴ」の作詞・作曲を手がけたことで有名なジョン・カンダーさんとフレッド・ウエッブさんのコンビが映画の企画会議に持ち込んだ。ところが、デニーロさんは歌詞の原案を「軽薄だ」と文句をつけた。「俳優が口を出すなんて」と機嫌を損ねたというカンダーさん。気を取り直して書き直し、完成させたのが現在の曲だ。2015年のインタビューでは、「デニーロが正しかった」と納得しているという。映画のサウンドトラックではミネリさんが歌った。シナトラさんの奥さんは、カバー曲として歌うことを勧めたが「あれは、ライザの曲だから」と遠慮していたという。奥さんが再度勧め、シナトラさんは78年、ラジオシティ音楽ホールでのコンサートで歌ってみると、割れんばかりの大喝采。そこで、翌年出したアルバムに入れてみると大ヒット。この曲は市のテーマソングとなって、今日もニューヨーカーが歌っている。

 

人々がニューヨーク・ニューヨークを歌う様子。マンハッタン区ミッドタウンで撮影(Photo / 本紙)