コロナのワクチン開発に、ラマの抗体が有望 今後臨床実験も、ベルギーの大学で研究

 ベルギーにあるゲント大学の分子ウイルス学者は5日、ラクダ科の動物、ラマの抗体が新型コロナウイルスの感染阻止に効果があることを、学術誌「セル」で発表した。ニューヨークタイムズが6日、報じた。
 同研究チームは、ラマの抗体が重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などの感染症を食い止めることを証明した研究を応用。1月に新型コロナウイルスについてのニュースが報じられるとすぐに、4歳の雌のラマ「ウインター」の抗体がCovid-19を引き起こす新型コロナウイルスの感染も阻止する可能性が高いと気づき、研究を開始したという。
 同チームは、細胞培養の研究を行い、ウィンターの体内から生成される2種類の抗体を組み合わせた新たな抗体が、新型コロナウイルスを阻害したことを確認。抗体は直ちに予防効果を示すが、効果は永続的ではなく、1、2カ月経つと追加の抗体注射が必要となるという。この研究結果を元にワクチンや治療薬を開発できるのではと期待されている。この治療法が一般的に導入されるには数カ月を要する予定。現在、臨床試験に向けた準備のため、安全性を証明する研究が進められているという。
 長年にわたり、抗体研究のために利用されてきたラマの抗体は、過去10年間、HIVやインフルエンザの研究に利用され、有望な治療法の発見につながっているという。

Noj Han(www.flickr.com/photos/25891376@N00/686395126/)
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