風評被害や差別、NYの中華街が存続の危機 「経済的影響は9.11を超える」

 新型コロナウイルスの経済的打撃を大きく受けたマンハッタン区のチャイナタウンは、今後のビジネスの存続が危ぶまれている。ウォール・ストリート・ジャーナルが7日、報じた。
 中華街では、新型コロナウイルスが武漢で流行り、世界から注目されはじめた1月、人々が感染を懸念し、客が減少し始めていた。通常は祝う人々で賑わう旧正月も、人々は同地域に近づくことを避けて、飲食店や商業施設の従業員も出勤することを恐れていたという。  
 ニューヨーク州のクオモ知事が、必要不可欠とみなされた職業以外の事業を閉鎖する行政命令を発令した3月20日、すでに、中華街の多くのビジネスは経済的影響を受け苦境に立たされていた。現在、中華街の約270店の飲食店のうち、テイクアウトやデリバリーなどで営業しているのは、約15%のみ。同州では経済再開後も、飲食店がすぐに通常営業に戻ることは難しいとされているが、とくに中華系飲食店は、同ウイルスの発生源が中国であることから、風評被害や差別などを受ける問題を抱え、回復には更に時間がかかるとみられている。
 そこで、中華街のビジネス存続を懸念した近隣住民はこのほど、ビジネス資金の募金活動サイト、ダンプリングス・アゲインスト・ヘイトを設立。ビジネス再開に向けた支援を募っている。
 また、中華街パートナーシップの代表、ウェリントン・チェンさんは、中華街への経済的影響について「9.11同時多発テロや大規模な停電、建物の火災など、これまで市が直面した災害の被害を超える」と話している。

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