コロナ禍で、政治家やジャーナリストが自宅から遠隔でテレビに出演する中、多くの人の自宅背景に映り込んでいる本「パワーブローカー:ロバート・モーゼスとニューヨークの衰退」が注目されている。ニューヨークタイムズが5月28日、報じた。
この本は20世紀中頃、ニューヨーク市の橋、公共住宅、公園などを計画し実権を手に入れ、次々に実現した都市計画家、ロバート・モーゼス(1888〜1981年)の評伝。1974年に発行された1246ページの大著だ。スコット・ストリンガー会計監査官やNY1の政治番組でホストを務めるエロール・ルイスさんの他、多くの著名人の書棚に置かれている放映され、ニューヨークの政界に精通していると「匂わせる小道具」として必須となっていると話題だ。
そうなると、テレビインタービューの前に、わざと書棚に飾ったマックス・ローズ連邦下院議員(スタテン島選出)のような政治家も出現。反対に「ありふれている」と、持っていても見せないというブラッド・ランダー市議会議員(ブルックリン区選出)もいる。
同書とともに、脚光を浴びるようになったのが、著者のロバート・カロさん(84)だ。「ここ数週間、本がテレビに映っていて驚いている。恐縮だ」。いまだにタイプライターを使うカロさんは、本の電子化を認めていないという。「政治的権力の仕組みを知りたい人に、この本は人気だ」とにんまり。