NY市、児童虐待の報告が51%減 外出規制下、被害状況の把握困難に

 ニューヨーク市では新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、外出制限が3月中旬に開始されて以来、児童虐待に関する報告件数が減少している。警察や検察官、児童福祉局は、「目の届かないところで虐待が行われている可能性がある」と指摘している。ニューヨークタイムズが9日、報じた。
 2019年春の2ヶ月間、市の児童福祉局には毎週、平均1374件の調査の虐待や養育放棄が報告されていた。しかし、今年の同時期には51%減少し、672件しか報告されていない。ブロンクス区の弁護士、ダーセル・クラークさんは虐待報告が減少していることについて、「一見、いい報告に見えるかもしれない。しかし、その反対だ」と強調。
 通常、教師は学校で生徒の体のあざや空腹状態から、家庭での虐待の兆候に気付いて同局への報告を行うことが多い。しかし現在市では、外出制限に伴い学校が閉鎖中であるため、教師はオンライン授業に参加する生徒の姿を垣間見る程度に限られている。
 また、さまざまな活動が自粛されていることにより、子どもたちは小児科医やソーシャルワーカー、キャンプカウンセラーなどとの接触も絶たれ、子どもたちの身に起きていることや虐待の被害を把握するのが困難になっている。
 児童福祉の専門家によると、外出制限から生じるストレスや孤立、失業やアルコール依存は、暴力的な行動を引き起こしやすい傾向にある。また、学校閉鎖により子どもが家にいる時間が以前より増えたため、性的虐待が増加している可能性も懸念されている。

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