PCR検査数も増えない。評判が最悪のアベノマスクも届かない。10万円の給付金の給付も大幅に遅れている。そんななか、確認感染者数は大幅に減り続け、死亡者数も少ないままで推移している。このままいけば、残った8都道府県の緊急事態宣言も解除され、日本は新型コロナウイルスの感染拡大防止に成功した国の1つとなるだろう。(編集部注:このコラムの初出は5月19日)まさに、「奇跡」(本当は「ミステリー」)と言うほかない。
しかし、そうはいっても、ここまで迷走を続け、国民生活を破壊した人たちの罪は消えない。今回は、“コロナ戦犯”たちを告発する。
「アベノマスク」と「動画コラボ」で炎上
やはり、なんと言っても安倍晋三首相(65)が、“A級戦犯”の筆頭だろう。危機が起こったとき、どう対処したかでリーダーの評価は決まるが、ここまでなにもできない首相だとは、誰もが思わなかったに違いない。
もはや書くまでもないが、安倍首相は2つの大失態を犯して、国民の信頼を完璧に失った。「アベノマスク」と「動画コラボ」である。
「一家に2枚の布マスク配布」が首相の口から出たのは、4月1日のこと。だから、「エイプリルフールではないか?」という声が上がり、さらに「たった2枚?」「えっ、洗って使う布マスク?」という疑問が噴出。最終的に「アベノマスク 」と揶揄されることになったが、さらに悪いことに、髪の毛や虫の混入が報告され、妊婦向けのものからは「変色している」「異臭がする」という苦情が相次いだ。しかも、当初予算は466億円。こうなると「アベノマスク」を超えて、もはや「アホノマスク」と言うほかなかった。
しかも、発表からもう1カ月半、いまだに届いていないところが多いのだから、なんとも言いようがない。
「動画コラボ」のほうは、4月5日にミュージシャンの星野源さん(39)がインスタグラムに『うちで踊ろう』という音楽動画をアップすると、間もなく首相自らが自宅のソファーで愛犬とくつろぐところ、コーヒーを飲んでまったりするところなどをコラボして、大炎上した。自ら打ち出した「自粛要請」を実践しているところを見せたかったのだろうが、上から目線もいいところで、一般庶民の自粛生活に対する配慮はゼロ。これでは、激しい怒りの声が上がるのも当然だった。
ツイッターでは、首相は「ルイ16世」にたとえられ、一時期「ルイ16世」というキーワードがトレンド入りしたほどだ。
ともかく、この首相には知恵がないうえ、定見もない。それを端的に表しているのが、記者会見である。コロナ禍の現在、緊急時だというのに、毎回、シナリオをつくり、プロンプターの原稿を読んでいる。自分の言葉で話さない。こんなリーダーは、世界のどこにもいない。
コロナ禍が起こってから内閣支持率は急落したが、支持しない理由は「首相が信頼できないから」がダントツの1位になった。
自粛要請中に仰天の花見会、団体旅行
首相が首相なら、その妻の“ファーストレディ”安倍明恵夫人(57)も、一般感覚では考えられないトンデモ行動をした。なんと、明恵夫人は、コロナ禍の最中に「お花見食事会」をしたうえ、「団体旅行」までしていたのだ。
お花見を報じたのは、小学館のニュースサイト「NEWSポストセブン」(3月26日)。お花見写真付きのその記事によると、場所は都内某所(のちに台東区の会員制レストランと判明)で、参加者は昭恵夫人が以前から交流のある芸能関係者たち。そのなかには、モデルの藤井リナ(35)やアイドルグループ「NEWS」の元メンバーなどが含まれていた。
3月27日、参院予算委員会で立憲民主党の杉尾秀哉議員(62)は、報道に便乗して首相を追及した。誰もが、首相は「申しわけなかった」と答えると思ったが、口から出たのは、次のような言葉だった。
「自粛が要請されていた公園での花見ではなく、レストランの敷地内の桜で写真を撮影した」「レストランに行ってはいけないのか。(写真撮影の)その時点では、そういうことではない。自粛のなかでなにが求められていたのか。正確に発言をしてほしい」
これには、議場内も唖然。苦笑する議員も出た。
しかも、昭恵夫人の仰天行動は、こればかりではすまず、続いて、「週刊文春」が夫人の旅行をすっぱ抜いた。
昭恵夫人は、3月15日に約50人の団体ツアーに参加、大分県の宇佐神宮を参拝していた。ノーマスクでほかの客と距離を取ることもなく、ツアーを楽しんでいた。そして、ツアーの主催者で「超高次元医学」を提唱する“ドクタードルフィン”こと医師の松久正氏(54)に、「コロナで予定が全部なくなっちゃったので、どこかへ行こうと思っていたんです。宇佐神宮へは前から行きたかった」と参加理由を語ったというのだ。こうなると、あきれるを通り超している。
この旅行の前日の14日、夫の安倍首相は記者会見で、「現状は依然として警戒を緩めることはできません」「感染拡大の防止が最優先」「全国津々浦々、心を一つに、正にワンチームで現在の苦境を乗り越えていきたい」と国民に訴えていた。
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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