NYPD「アイストラックの曲」でパトロール 「人種差別に関わる曲」の歴史から波紋呼ぶ

 6月初旬、ニューヨーク市警察(NYPD)のパトカーが、サイレンではなく「アイスクリームトラックのメロディー」を流しながらブルックリン区を徘徊する様子を捉えた動画がSNSで拡散。この音楽には人種差別に関わる歴史があるため、波紋を呼んでいる。ニュースサイト、アトラス・オブスキュラが16日、報じた。
 市内では6月初旬、午後8時以降は外出禁止令が発令されていたが、それでも抗議活動は続いていた。午後11時ごろ、黒人の多く住む同区クラウンハイツにパトカー6台が集結。警官50人程度が出動し、参加者を強引に拘束。パトカーの1台が引き上げる際、サイレンではなく「アイスクリームトラックの音楽が流れた」と目撃者のピーター・チンマンさんは話す。
 翌日午前2時、同区ベッドフォードスタイブサントの公共住宅街の間を同じメロディーとともにパトカーが徘徊していた目撃情報もある。ハーレムに出没したという情報もインスタグラムに投稿された。
 パトカーが流していたのは「Do Your Ears Hang Low?」。もともと童謡だったが、1820年代、ブラックフェイス(黒塗りメイク)をした白人によるバラエティーショーのテーマ曲として、差別用語を使った曲名に変更され、知られるようになった。1916年には黒人を侮辱するNワードを使った替え歌がレコードとして発売され、白人至上主義者の間でもてはやされた。現在はアイスクリームトラックのメロディーの定番として知られている。
 人種差別の真意があったのか。NYPDはかたくなにコメントを拒んでいるという。 

写真はイメージ(Photo: Yuka Takeuchi / 本紙)

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