新型コロナウイルス感染拡大の影響により、休止していたニューヨーク州の住宅裁判所が22日、再開した。家賃滞納者に対する立ち退き請求手続きが一時的に停止となっていた同州で今後、住宅問題に関する訴訟が増え、何万人もの人々が住居を失うことが懸念されている。ニューヨークタイムズが同日、報じた。
住宅権利団体は、今後、ニューヨーク市の住宅裁判所に5万から6万件の立ち退きに関する訴訟が起きる可能性があると推定している。また、すでに訴訟が進行中だったが、3月中旬からの外出制限により、一時停止されていた数千件の訴訟も再開される。
パンデミックにより経済的な影響を受けた賃借人を保護するために、ニューヨーク州が発令した家賃滞納による立ち退きの猶予も、8月下旬に期限満了を迎えるため、それ以降、立ち退き訴訟がさらに増えることが予測されている。
不動産会社アムハーストによる最近の報告書によると、米国で最大2800万の賃借人が立ち退きの危機に直面する可能性があるという。
多くの賃借人が住居を失う事態を避けるため、住宅裁判所が再開されるまでの数日間、州議会の議員や多くの住宅支援団体が、同州のクオモ知事に、すべての賃借人に立ち退き猶予などの保護を拡大するよう要請していた。
市内の家主向けの住宅保護団体、チップの調査によると、市内の賃借人の25%が4月から6月の間に家賃を払っていない。また市内の家主の20%が今後、賃借人の家賃滞納により、住宅ローンや建物の維持費を払えず、所有権を失うことを懸念している。