ニューヨーク市警察(NYPD)のダーモット・シェイ本部長は24日、2020年に入ってから市で起きた殺人事件の件数が、過去5年間で最多であると発表した。NBCが同日、報じた。
NYPDの犯罪データによると、発砲事件による犠牲者の数が、昨年の同じ週と比べ、今年は42%増加していた。また、今年に入ってから同日までに起きた殺人事件の数は166件で、昨年の134件から24%増加していた。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、3月中旬から裁判所が閉鎖されたことで、凶悪な銃犯罪者の起訴が見送られたことや、感染拡大を防ぐために一部の受刑者が保釈されたこと、1月から施行となった保釈金制度改正法により、一部の被告が保釈金を払わず釈放されたことなどが、増加の原因と考えられている。
シェイ本部長は、「危険人物を放置したまま、市民の安全を守るのは不可能。市の司法制度は、崩壊している」と主張。パンデミックの最中も、遠隔などで裁判所が審理を継続し、被告の召喚や大陪審を開く方法があるはずだったと述べた。
また、刑務所から釈放された元受刑者を監視するためのシステムは今のところ存在しないことから、取り調べを中断して釈放するのは危険すぎると訴えた。6月中旬、NYPDは暴行や銃撃を多く起こしていた私服警官の犯罪防止班の捜査方針の批判を受け、解散を発表した。しかし、各地域のことを良く知り、経験豊富な警官により構成された同班は、銃撃事件を防止するのにもっとも有効的だったとし、同班の解散を決めた同本部長を非難する声も上がっているという。