致死率はわずか「0.4%」とCDCが公表
新型コロナウイルスが恐ろしいとされたのは、当初、致死率(感染者数に占める死亡者の割合)が高いとされたからだ。インフルエンザの0.1%に比べ、イタリアなどの統計から5〜10%もあるとされた。WHOは、3月初旬の段階で、致死率を3.4%と発表していた。
しかし、世界中で感染者数が増えるに連れて、致死率は低下した。
最近のCDC(疾病予防管理センター)のデータを見ると、なんと全年齢で0.4%である。
CDCの「COVID-19 PandemicPlanning Scenarios」によると、年齢別の新型コロナウイルス症候性致死率は、以下のようになっている。
・0歳〜49歳:致死率 0.05%
・50歳〜64歳:致死率 0.2%
・65歳以上:致死率 1.3%
・全年齢:致死率 0.4%
65歳以上の高齢者の致死率が高いのは、以前から言われてきたことである。これは、どの国でも同じだ。問題は、0歳〜49歳の致死率 0.05%である。これはインフルエンザなどより、はるかに低い。
しかも、アメリカにおいては、49歳以下で死亡した人は、ほぼ全員、基礎疾患を持っていたという。こうなると、健康な若い人にとって、コロナは感染してもインフルエンザより軽い感染症となる。しかも、ほとんどの人間が発症していない。
人類全体が「集団ヒステリー」にかかった
結局、ロックダウンは、コロナの危険性を過大に考えて、人類全体が「集団ヒステリー」に陥った結果という見方ができる。
私の知り合いの精神科医は、こう断言する。
「人類は、未知のウイルス に“過剰反応”したということです。神経症患者の特徴の一つは、現実に過剰に反応してしまうことです。人類全体が神経症患者になって、コロナに対して “恐怖症”にかかり、過剰に反応した。その結果、集団ヒステリーに陥って、ロックダウンのような強制的な措置が取られたのです」
そう言われてみると、たしかにそう思えてくる。私も、2月初旬にクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス 」が横浜に寄港する前までは、コロナ楽観論だった。トランプと同じである。しかし、報道量が増えて、感染者数が増え、重症患者や死者が出るにつれて、悲観論に転じた。そして、“コロナ恐怖症”になってしまった。いまもなお悲観論者であり、コロナに対する恐怖感は続いている。
最近の調査では、ロックダウン弊害論というものも登場している。ロックダウンのせいで、精神を病む者が増え、精神科や心療内科の患者が増えたというのだ。たしかに、欧米ではDVや自殺者が増えたことが報道された。
精神科医は、こう続ける。
「家に軟禁状態になることでメンタルがやられます。また、経済的に追い詰められても、メンタルがやられます。それで、精神病患者、自殺者が増えるのです。2011年の東日本大震災のときもそうでしたが、しばらくしてから、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、自殺者が増えました」
現実認識を変えて不快感から逃れる
ロックダウンが過剰反応としたら、それが解除されたことで、大きな揺り戻しがやってきた。それが、最近の株価の高騰(といっても底値からの大幅な上昇)ではないだろか。私にはそう思える。人々は悲観論から一転して、「超楽観論」に転じたのだ。
そう考えなければ、NY株価が2万7000ドル台、日経平均が2万3000円台まで戻すなどということは、説明がつかない。世界中が金融緩和してカネが溢れてしまったとしても、それだけで、ここまで戻すだろうか?
日経平均にいたっては、いくら「官製相場」としても、2万4000円台になれば、バブル崩壊後の最高値を更新してしまう可能性もある。
しかし、実体経済は、過去のどんなときより悪い。今年の経済成長率はマイナス、しかもマイナス二桁台になるのは間違いないとされている。したがって、常軌を逸した超楽観論以外、この株高は考えられない。
ただし、この超楽観論は、心理学で言うところの「認知的不協和」ではないかと思う。人間は、解決できない難問に直面すると、現実認識のほうを変えてしまい、それで不快感から逃れようとする。これが、認知的不協和で、目の前の事実を歪曲して、都合のいい現実認識(ありえない現実)をつくり出す。(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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