ニューヨーク市内の公立校がコロナの影響で閉鎖されると、教育局(DOE)は遠隔授業を実施するため、インターネットのアクセス付きタブレット端末32万1500台を生徒に配布した。しかし生徒が入れ替わる秋の新学期に向け、タブレッド端末を一旦回収し、再配布する作業や追加注文の費用が各学校に委ねられることになり、物議を醸している。市内の教育情報サイト、チョークビートが7月29日、報じた。
通常、教育機器の購入は各学校の責任だったが、コロナ感染が広がるとDOEが肩代わり。1台897ドル(約9万5000円)で、タブレッドを32万1500台購入して配布した。配布されたタブレッドは秋から通う学校に返却する決まりだ。高校の卒業生はもとの高校に返さなければならない。回収したものは、各学校が生徒に再配布する。3年間の保証付きだが、修理の手続きは必要だ。
「学校の自主性を尊重するのはありがたいが、追加注文を含めて学校の負担となるのは困る」と、ある校長は渋い顔。すでに予算は削減され、教員の新規採用も凍結されているからだ。校長や職員で構成する組合の上級副組合長、ヘンリー・ルビオ氏も「DOEがアイパッドなどのタブレッド端末関連の費用を負担し、貴重な各学校の予算は教材購入などに充てるべきだ」と主張する。これに対しDOEは「学校の必要に応じ、柔軟に対応したいとする学校経営陣の声を受け入れたのに」と反論し、両者の議論は平行線をたどっているという。