新型コロナウイルスのワクチンの開発が進められるなか、臨床試験(治験)のマイノリティの参加者が不足しているという。ウォール・ストリート・ジャーナルが5日、報じた。
黒人やラテン系などの人種的および民族的少数派グループは、新型コロナウイルスに感染した際、重症化や死亡する確率が高いため、治験の参加を特に必要とされている。だが、これまでの傾向によると、薬品やワクチンの安全性をテストする治験に参加するマイノリティは少ない。公衆衛生局によると、ワクチンが効果的であるためには、全年齢層、人種、民族、特にウイルス感染へのリスクが高い人々の間で、安全に機能することが証明されなければならないという。
しかし、全米で治験の参加に興味を示す数千人のうち、そのほとんどが、若く、健康な、白人。マイノリティの参加者が少ない理由は、誤った情報が出回っていることの他にも、「人種差別への抗議活動や社会に対する不信感が募り参加を思いとどまらせている」と国立衛生研究所のフランシスコ・コリンズ所長は話す。
そのため、研究者らはコミュニティのリーダー、教会および擁護団体と協力し、ワクチン接種の利点について教育を行い、SNSやマイノリティの医師を介し、治験参加を呼びかけている。全米では先月から、米製薬大手ファイザーを含む製薬会社などにより、約3万人を対象とする最大規模の治験が開始された。