「患者対看護師」比率削減は不可能 「現場の逼迫を反映せず」との批判も

 ニューヨーク州保健局(DOH)は14日、患者対看護師の比率を削減する条例案に疑問を呈する調査結果を発表した。これには批判の声も上がっている。ゴッサミストが16日、報じた。
 州議会では、緊急病棟で1対1、リハビリテーション病棟で5対1の比率を義務付ける条例案が審議されている。看護師から苦情の多い、職場でのストレス解消が狙いだ。コーネル大学は、この比率を達成するには病院で2万4779人、高齢者施設で4万5158人の看護要員が必要と試算。病院で18〜24億ドル(約1900〜2500億円)、高齢者施設で19〜23億ドル(約2000〜2430億円)の費用がかかるとする見方もある。
 今回発表されたDOHの調査は、昨年10月、看護師などにインタビューを実施してまとめたもの。看護師の退職が増え、州が求める学士を持つ看護師の誕生が少ないため、この比率の達成は不可能と結論付けている。そして、「仕事と生活の両立の推進、仕事場でのストレス要因の解消」を通じ、看護師が燃え尽きることにないよう、病院が対策を講じるべきだと提案している。
 州看護師組合(NYSNA)の責任者、パット・ケインさんは、同報告書には看護師たちの新型コロナウイルスでの対応が記されていないと批判的だ。「20年のブランクがあり、トレーニングも十分受けていない引退した看護師を職場復帰させるほど、現場は逼迫しているのに」と不満をあらわにしている。

最新のニュース一覧はこちら