感染拡大が止まらなくなった日本。しかし、重症者数、死者数は少ないので、国は無策のまま。国民もどうしていいかわかない日々が続いている。はたして、このままいくとどうなるのだろうか?
現時点で言えることは、このままいけば、日本はコロナの完全な「負け組」になるということだ。それは、間違いなく社会主義国家への道である。経済回復などありえない。
現在、世界の国々は、コロナをめぐって「勝ち組」と「負け組」に分かれる2極化進んでいる。
「ただの風邪」としても後遺症が残る?
日本ではなぜか重症者数、死者数が少ないので、最近は「コロナはただの風邪」「指定感染症から外せ」という意見が聞かれるようになってきた。
たしかに、重症者、死者が増えなければ医療崩壊はしない。となると、コロナはインフルエンザと同じか、それ以下の感染症で、大騒ぎするようなことではない。メディアは騒ぎすぎだというのだ。
しかし、ドイツの研究報告では、「無症状、軽症の人でも後遺症が出る」「心筋症になっている人が6割に上る」という実態も浮かび上がっているので、安心などできない。無症状で元の健康体に戻れるならいいが、そうはいかないとしたら、重症者、死者はもちろん、感染者をできるだけ減らすしかない。
ところが、日本政府は、感染拡大を止めようとしていない。「自粛要請」だけで、今日まで「見ているだけ」(=放置している)を続けている。
安倍首相ボキャボラリーでは、これを「高いレベルで注視している」と言う。
となると、この「見ているだけ」が、どんな結果を招くのかが本当に気になる。新型コロナウイルスが弱毒化するか、自然消滅してくれるならいい。しかし、そんな兆候はいまのところまったくない。また、ワクチンも治療薬も、報道ではいかにも開発が進んでいるように思えるが、実体は不明だ。しかも、できたとしても本当に有効かどうかはわからない。
最近になって、“愚鈍”国際機関のWHOは「特効薬としてのワクチンや治療薬は永遠にできないかもしれない」と言い出す始末だ。
感染拡大、縮小のパターンはあまりに単純
コロナ禍が始まって半年以上。今日までの感染拡大、縮小パターンを見ると、次のようなことが言えるだろう。
3月、4月、世界各国はロックダウン(封鎖)政策を実施した。その結果、感染者数は減った。しかし、2カ月ほどで、段階的にロックダウンを解き、経済再開に舵を切ると、再び感染者数は増加した。
つまり、ロックダウンをして、人と人の接触を完全に止めない限り、感染拡大を抑えられないということになる。
アメリカを例にとれば、これは簡単に説明できる。当初、ロックダウンをいち早く実施したカリフォルニアは感染拡大を抑えられた。遅れたニューヨークは止まらなかった。全米でいちばん感染拡大が続き、医療崩壊を招いてしまった。ところが、ロックダウンを緩めたカリフォルニアは、その後、感染拡大に見舞われ、いまやニューヨークより感染者数が多くなった。
日本は、感染者数、死者数ともアメリカとは桁違いに少ないが、感染拡大、縮小パターンは同じだ、カリフォルニアやフロリダのように、規制を緩め、住民の自主性にゆだねると、感染拡大は抑えられなくなる。「Go To トラベル」などという“愚策”を続行している現在、感染拡大が止まるわけがない。
このように見てくれば、感染拡大、縮小のパターンは、あまりにも単純なことがわかる。しかし、この単純で唯一の方法であるロックダウンを、政府はもう怖くて行えない。行えば、経済が大きなダメージを受けるのがわかっているからだ。(つづく)
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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