MET前、ホットドッグ屋台が戻ってきた 期待と不安が入り交じるストリート経済の再開

 メトロポリタン美術館(MET)の営業再開に伴い、「ホットドッグ・キング」の愛称で知られているダン・ロッシさん(70)が営業する、正面入り口の階段脇の屋台が戻ってきた。ニューヨークのストリート経済が徐々に再開している。ニューヨークタイムズが28日、報じた。
 「美術館は閉鎖。客もいない」とロッシさんが13年間営業を続けてきた屋台を畳まざるおえなかったのが3月。それからは、公的年金で食いつないだ。8月28日、同美術館が再開したのを機に、店を再び開けた。
 ホットドッグが3ドル、ペットボトルの水が1ドル。これで1日に2000ドル(約21万円)稼いだこともある。競争は熾烈。2014年のピーク時には30台の屋台が辺りにひしめいた。その後、市が10台以下に押さえて、現在7台。今でも時々、出店場所の確保で警察沙汰に発展することもある。場所を守るため、過去7年、屋台の中で寝泊まりしていたほどだ。
 市と戦ったこともある。公園局が独占販売権を年間65万ドル(約6880万円)で強制的に買わせようとしたからだ。ロッシさんは断固拒否。逮捕、勾留されたり、チケットを100回も切られたり、嫌がらせを受けた。それでも、南北戦争時代に発効された法令を盾に、1銭も払う必要はないと法廷で主張。最終的には市も諦めた。
 そして今回のコロナの試練。「どうなるか見ものだ。厳しい冬になりそうな気がする」と、ロッシさんは期待と不安の入り交じる複雑な思いを打ち明けた。

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