連載401 山田順の「週刊:未来地図」「コロナ敗戦」に突き進む日本: このまま社会主義国家になって自滅するのか?(完)

世界の勝ち組と負け組はどうなっている?

 そこで、世界の勝ち組と負け組が、いまどうなっているのか?今後、どうなっていくのか?を見極める必要がある。
 まず、アメリカだが、トランプ政権が続く限り、負け組のままだろう。ニューヨークなど一部の州から勝ち組に入り、経済が復活していくのは間違いないが、アメリカ全体が勝ち組に向かうのは今年いっぱいかかる可能性がある。
 では、欧州はどうか?
 英国、フランス、スペイン、イタリア、ドイツなど主要国はいっとき収束に向かった。しかし、いまはまた感染拡大が起こり、「第二の波」と言われている。ドイツでは、マスク反対運動が起こっているし、南仏でも、イタリア、スペインでも、ビーチはごった返している。これでは当分、勝ち組にはなれないだろう。
 ただし、ノルウェー、フィンランド、デンマークなどの北欧諸国は違う。完全な勝ち組だ。
 アフリカ諸国、中東諸国、インドは負け組である。メキシコをはじめとする中米諸国、ブラジル、ペルーなどの南米諸国にいたっては、完全な負け組である。
 ロシアも完全な負け組だ。プーチン大統領は世界に先駆けて年内にワクチンを実用化すると豪語したが、口先だけ。第3段階をへない実用化は、危なくて使えない。
 こうして、わが国を含むアジアとなるが、アジア諸国は、感染拡大が続くインドネシア、フィリピンをのぞいて、おおむね勝ち組だ。とくに、台湾、韓国、ベトナムは優等生だ。ベトナムは最近、感染が拡大し出したが、まだ実数はわずかである。
 したがって、インドネシア、フィリピンをのぞくASEAN諸国と東アジアでは経済回復が進むだろう。
 問題は、感染をほぼ収束させて勝ち組と言える中国だが、アメリカと戦争状態に入ったため、勝ち組への道は閉ざされた。今後、中国が政治的に変わらない限り、付き合うと国は没落する。

日本は100%負け組、勝ち組になる見込みなし

 では、わが国はどうかだが、どこからどう見ても負け組だ。しかも、今後、ますます負けは大きくなりそうで、悲しいかな、勝ち組になる見込みはない。
 先月、なにを勘違いしたのか、安倍首相と官邸は感染症対策本部会合を開き、出入国制限の緩和に向け、12カ国とのビジネス往来再開について交渉に入るよう、関係部署に指示した。その12カ国とは、以下の通りである
 中国、韓国、台湾、香港、マカオ、カンボジア、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス。
 すでに、日本は、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドと6月より交渉を行ってきているので、この4カ国に12カ国を加えた16カ国を、日本政府は勝ち組と判断したと言える。
 しかし、これは自国を棚に上げた、傲慢な考えである。おこがましいとしか言いようがない。なぜなら、相手国が日本を勝ち組と認めない限り、相互交流は成り立たないからだ。
 次は、世界が認める勝ち組の台湾が、感染リスクが低い「低リスト国」として交流の再開交渉を行っている国々だ。大方、日本政府のリストと一致するが、日本は入っていない。台湾は、親日であるが、現実をしっかり見据えている。
 ニュージーランド、オーストラリア、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネ
イ、ベトナム、香港、タイ、モンゴル、ブータン。

見えて来た日本の「コロナ敗戦」シナリオ

 このように見てくると、秋になったら、日本の負け組ぶりは深刻さを増すだろう。感染者数が増え続けるのは間違いないから、秋風が立つ頃には、国内は悲観論に満ちるようになる。
 企業倒産はいまのところ抑えられている。アメリカはどんどん潰すが、日本はそれを嫌い、銀行に“やけくそ融資”(回収できない融資)をやらせている。しかし、このままいけば、銀行も共倒れになるので、さすがに融資は止まる。
 そうなると、中小から大企業まで、危ないところは潰れる。
 10月から11月にかけては、中間決算の季節だ。ここで、赤字決算を発表する企業が続出すると、景況感は一気に冷え込む。給料カット、ボーナス停止、リストラで、正社員も危うくなる。
 リーマンショックでは、最初は金融システムが破綻し、次に、実体経済が大きくダウンした。今回のコロナショックは逆だ。国家が強制的に実体経済を止めたことにより、消費産業がダウンし、その影響が金融機関に波及する。こうして、金融と経済のすべてが大幅に落ち込む。
 なにもしないで、これを見ているだけの日本政府は、破滅に向かって突き進んだ戦前の政府と同じだ。現実を認めようとせず、いまできる感染防止策をやろうともしない。それなのに、失敗するとわかっている「Go To キトラベル」はやる。
 これは、敗戦確定のなかで、特攻攻撃をしたカミカゼ、インパール作戦、戦艦大和の出撃となんら変わらない。1944年の段階で、敗戦を認め、降伏していれば、沖縄戦も原爆投下もなかった。
 日本の焼け野原は、日本が自ら招いたのである。
 コロナ禍が本当に終わったら、現政府のトップたちを裁判にかけ、「第二次東京裁判」をやってほしい。
(了)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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