シティグループ、マスターカード、ナスダックの幹部など160人以上のビジネスリーダーが10日、新型コロナウイルスが去った後のニューヨーク市の治安への不安の高まり、衛生面やその他の生活の質の悪化について警告する、ビル・デブラシオ市長に宛てた文書に署名した。ウォール・ストリート・ジャーナルが11日、報じた。
同リーダーらは文書で、新型コロナウイルスのパンデミックが市の経済を破綻し、高い失業率を招いたと指摘。市長および市議会がこのほど承認した予算から、削減された必要不可欠な業務を復活させることを促した。予算では、ゴミの収集や落書きの消去などの業務を削減または廃止し、市警察(NYPD)の資金から約10億ドル(約1070億円)を移行した。一方市は今後2年間に90億ドル(約9500億円)の赤字に直面すると予想し、今後数週間以内に2万2000人の職員を解雇する必要に迫られている。また、NYPDによると、市内の犯罪件数はこのところ急増。9月5日までの1ケ月の間で発生した発砲事件は222件、昨年同時期の90件と比べ2倍以上増加している。
これを受け、リーダーらは同文書で、「従業員や顧客、クライアントに、職場環境や住居の周辺が安全であるという強力で一貫したメッセージを送る必要がある。治安や居住適合性への懸念が迅速に対処されない限り、人々が戻り経済が再開するには時間がかかるだろう」と述べた。一方、デブラシオ市長は同文書について「市の業務の復活や雇用を守るには、長期借入や連邦政府からの支援が必要だ」と訴え、リーダーらの参加を呼びかけた。