1人あたりのGDPではもう日本並みに
では、ここで、日本と韓国のGDPおよび1人あたりのGDPの推移を2010年から、ドルベースで比較してみよう。
単位はドル、最初が名目GDPで、( )内が1人あたりのGDPである。
韓国が名目GDPも1人あたりのGDPも堅実に伸ばしてきたのに比べ、日本はどちらも数値を落としている。これで言えることはただ1つ。韓国は豊かになっているが、日本は貧しくなっているということだ。
韓国は名目GDPを約5000億ドル(約53兆円、1ドル105円換算)伸ばしたが、日本は約6000億ドル(約63兆円)減らした。1人あたりのGDPでは、韓国は約8000ドル(約84万円)伸ばしたが、日本は約4000ドル(約42万円)減らした。
現在、1人あたりのGDPに関しては、1万ドル近くの差はあるものの、購買力平価で見るとほぼ同じである。となれば、いずれ、名目の1人あたりのGDPでも抜かれるだろう。本当に情けないことだ。
世界第2位から約30年
で第26位に転落
1人あたりのGDPが、国民の豊かさを表す指標とすれば、日本はその順位をつるべ落としに落としてきている。日本の1人あたりのGDPは、1988年には世界第2位だった。それが、2018年は第26位である。韓国は第28位で、日本をもうすぐにでも抜く位置にある。
1人あたりのGDPランキングを見ると、上位は、みな小国である。1位ルクセンブルク、2位スイス、3位マカオ、4位ノルウェー、5位アイルランド、6位アイスランド、7位カタール、8位シンガポール、9位アメリカ、10位デンマークとなっている。アメリカを除いて、みな、利益を上げられる産業に特化した国か、資源に恵まれた国だ。
また、先進国とされる国々では、ドイツが18位、フランスが21位、イギリスが22位と日本よりやや上に位置している。ちなみに中国は70位で約9580ドルだ。
よって、日本の26位、約3万9303ドルは、それほど悲観することではないかもしれない。しかし、ドイツ、フランス、イギリスは4万〜5万ドルに達しており、アメリカは6万ドルを超えている。
しかも、このままいけば確実に韓国に抜かれる。
そう思うと、勤勉な国民性、毎日一生懸命働いている国民の生活を考えると、情けなくならないか。
人口減、高齢化ということで成長できないという面もある。しかし、日本の大問題は、韓国よりも劣る「生産性の低さ」だ。先進国のなかで、日本ほど生産性の低い国はない。
長年、指摘されてきたが、日本の生産性の低さは異常である。その原因は、付加価値の高い金融やソフトウェア、ITなどの分野が発展せず、付加価値の低い産業が温存されてきたからだ。高齢者や女性が低賃金労働で働いているということも、生産性を低くしている大きな要因である。
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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