デジタルエコノミーへの転換を急げ
ポストコロナを考えたとき、日本は生産性を高めることが絶対に必要だ。韓国に大きく遅れてしまったITインフラ、ネットインフラを整備し、テレワークを進めなければならない。キャッシュレス、フィンテック、ヘルステック、AI、IoTなど、デジタルエコノミーを積極的に促進していかなければならない。DX(デジタル・トランスフォーメーション)をもっと加速しなければならない。
すでにコロナ禍で、小売の形態は大きく変わった。店舗型の小売は衰退し、オンライン販売が主流となった。アメリカを見ればわかるが、デパートなどはDXに立ち遅れたため、倒産が相次いでいる。eコマースへの大胆な転換が必要だろう。
人口減の日本では、欧州のように移民を大量に導入しない限り、労働人口は増えない。となれば、誰もが効率よく働くほかない。つまり生産性の向上しか、GDPを増やす方法はない。
ポストコロナ時代は、これまでのように、あらゆる産業分野にバラマキをするのではなく、付加価値の高い産業、金融、ソフトウェア、ITなどに特化して、政府はおカネを使わなければならない。教育も大幅に見直し、デジタルエコノミー時代に適材な人材をつくっていかねばならない。
はたして、次期政権はこれができるだろうか?
歴史的に見て日本が常に朝鮮より上
ここで、歴史的に見ると、これまで日本が韓国、朝鮮半島の国家の後塵を拝したことは1度もない。古代においても、半島国家より倭国のほうが進んでいた。
高句麗、百済、新羅の「3国時代」のとき、倭国は百済と結んで半島の一つの勢力として、高句麗と対峙した。このとき、広開土王の高句麗に何度か敗れたことがあるが、その後は、朝鮮の国家に敗れたことはない。白村江の戦いでは新羅・唐に敗れたが、これは新羅ではなく唐に敗れただけだ。
時代は下って、元寇ではモンゴル・高麗の連合軍を撃退した。李氏朝鮮時代には、秀吉の朝鮮遠征があったが、これは明の征服を目指したものだから、朝鮮軍は日本の敵ではなかった。明の援軍がなければ、秀吉は軍を引かなかっただろう。
江戸時代、朝鮮は通信使を江戸幕府に送り、清国と同じように日本に朝貢した。そして、近代史が始まると、先に西欧化した日本の明治政府は、朝鮮を開国させ、その後、保護国とした。
そうして1910年、日本に併合。以後、第二次大戦の終結まで、朝鮮半島は日本の領土だった。
このように、日韓の歴史は、常に日本が朝鮮より上で、すべてにおいて先んじていた、これは朝鮮が大陸と地続きで、中国の王朝からの圧力を受け続けてきたことが大きいからだろう。この構図は、いまも変わらない。
ところが、ここにきてついに韓国が日本を上回ろうとしているのだ。
来年の回復が日本を上回る可能性
すでに、世界経済は来年を見据えて動き出している。ポストコロナ時代を迎えて、どう経済を立て直していくかという段階に入った。
この観点から見ると、日本の状況は本当に厳しい。昨年の消費税増税が重くのしかかり、それにコロナ禍が加わって、国内消費の落ち込みが激しいからだ。
そんな日本に比べ、韓国ははるかに優位な状況にある。コロナ禍のダメージが少なかったことに加え、早めに打った経済対策が功を奏しつつあるからだ。左翼の特徴としてバラマキが得意な文政権は、いち早く景気浮揚策を実施した。
それを見て、IMFは今年の韓国の国内総生産の成長率をマイナス1.2%、OECDはマイナス0.8%という見通しを公表した。これは、日本や欧米主要国のなかで、もっとも高い数値である。もし、これが達成されれば、来年の韓国の成長率3%以上になると予想されている。
7月27日、文在寅大統領は、政府内の会議で「世界経済が低迷するなか、OECD加盟国の成長が大幅に後退しているのに比べ韓国経済は奇跡のように持ちこたえた。政府と民間の努力が合わされば7〜9月期から経済反転に成功できると見通している」と述べた。
しかし、その後、8月に入ると、いったん収まっていたコロナの感染拡大が始まった。そのため、9月7日、韓国の政府系シンクタンク、韓国開発研究院(KDI)は「経済動向9月号」で、景気が再び萎縮する可能性が高まったとの見方を示した。
はたして、今後、韓国はどうなるのか? 現段階では、まだ日本のほうがわずかに上である。ほんのわずかである。
(了)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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