新型コロナウイルスの影響により、利用者が激減したニューヨーク市の地下鉄で、暴力犯罪や器物破損行為が増加している。ニューヨークタイムズが12日、報じた。
今年1月から9月末までの間に、市の地下鉄網で報告された犯罪の数は、昨年の同時期と比べて約40%減少していた。全体的な犯罪は減少しているものの、殺人や強盗事件などは増加。パンデミック初期の3月には、地下鉄内での放火で運転手が死亡、16人が負傷する事件が起き、翌月には、7番線の車両の窓が約500枚割られた。8月には、地下鉄駅で性的暴行事件が発生し、9月には男が故意に車両を脱線させる事故も起きていた。今年、地下鉄で殺害された犠牲者数は6人。昨年は2人、2018年は1人、17年は0人だった。強盗事件は昨年の394件から16%増の457件以上。侵入窃盗の数は22件で、昨年同時期には5件だった。また器物破損は、昨年の702件から24%増の868件だった。
地下鉄の利用者数がパンデミック以前の約30%に減少したたことが影響し、全体的な犯罪率を引き下がったものの、目撃者が少ないことが、犯罪行為をあおることに繋がった可能性もある。ニューヨーク州都市交通局(MTA)は、地下鉄網内を巡回し犯罪行為を警察に報告する、非武装の制服着用警備員を85人雇用。MTA警官60人と市警察(NYPD)の警官300人も、交代制で巡回にあたっている。