連載423 山田順の「週刊:未来地図」菅新内閣でさらに衰退確実! 女性差別をやめない限り日本は復興しない(完)

うらやましい若き女性リーダーがいる国々

 世界の女性リーダーたちは、みな若い。そして、みな前向きで明るい。その筆頭は、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39)だろう。

 彼女は、感染者が出るとすぐに観光業を停止し、レベル4(最高レベル)のロックダウンを実施した。国家非常事態宣言を出した3月25日の夜には、スウェット姿でライブ動画に登場し、「カジュアルな格好ですみません。赤ちゃんを寝かしつけるのが大変で」と言いながら、国民から寄せられた質問に対してひとつ一つていねいに答えた。

 その結果、ついに市中感染者を完全にゼロにすることに成功し、その状態を102日間維持した。その後、また感染者が出たが、再びゼロにすることに成功した。ニュージーランド保健省は9月18日、この日、国内での新型コロナウイルスの新規感染者の発生が報告されなかったことを発表した。

 女性リーダーといえば、北欧諸国は集団免疫政策を取ったスウェーデンをのぞいて、どこも女性がトップである。

 アイスランドは、ほかの欧州諸国のようなロックダウンをしなかった。しかし、徹底したPCR検査を実施(人口1000人あたりの検査数を世界1)して、コロナを封じ込めた。その指揮を執ったのがカトリーン・ヤコブスドッティル首相(44)である。

 フィンランドのサンナ・マリン首相(34)、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(44)も、若き女性リーダーであり、両国ともコロナ封じ込めに成功し、国民の信頼を勝ち取った。

 フィンランドの場合、閣僚19人のうち女性がなんと12人を占めている。しかも、これまで女性首相は2人も誕生していて、マリン首相は3人目。さらに、定員200人の議会は、女性議員が93人、全議席の47%を占めている。

 こうした国々に比べ、日本はどうだろうか? 今回のコロナ禍で小池百合子都知事(67)は目立ったが、ボードを掲げた説教パフォーマンスだけで、コロナ封じ込めには失敗した。

菅政権では女性の地位は改善されない

 なぜ、日本では、女性差別が問題にならず、世界的に見て異常な状態が放置され続けているのだろうか。

 それは、前記したように、男性側に誤った認識があるからだ。さらに、メディアにまったく問題意識がないからだろう。このままいくと、国際社会の場で、老人と男性ばかりが出てくる日本は物笑いになるうえ、相手にされなくなる。

 繰り返すが、世界経済フォーラム(WEF)が公表している「ジェンダーギャップ指数」では、日本の順位は世界153カ国中121位と先進国では最低である、政治分野にいたっては144位とワースト10に入っている。日本より下にいるのは、イラン、ナイジェリア、ベリーズ、ブルネイ、レバノン、オマーン、イエメンなど。

 この現実を、あなたは本当に情けないと思わないだろうか。日本を世界に誇れる国と言えるだろうか。

 安倍政権では「女性が輝く社会」がスローガンになったことがある。口先だけで終わったが、それでもスローガンになっただけでもましだ。しかし、管政権では、女性差別は問題にもされない。女性の地位が改善されることはないだろう。

 私は、歴史に登場する女性リーダーに興味があり、知れば知るほど好きになる。

 たとえば、中国史でたった1人の女性皇帝、則天武后。評判は悪いが、彼女は50年間、唐帝国を治め、国を繁栄させた傑出した女性だ。日本では、邪馬台国の卑弥呼、戦後、皇統から外された神功皇后、そして鎌倉幕府の北条政子などが、いずれも、国家を治めて繁栄をもたらしている。

 そのような女性が、いまの日本にもいるに違いないのに、この社会は、そうした女性を見出そうともしていない。

(了)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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