ニューヨーク市内の公立学校に通う約19万人の生徒に対面授業が再開した。校舎に戻った生徒の中で、白人が有色人種より1万2000人も多いことが判明。教育の人種格差拡大が波紋を呼んでいる。ニューヨークタイムズが8日、報じた。
登校を開始した生徒の43%はラテン系。全生徒に占める割合もほぼ変わらない。ところが、白人は25%と次に多い。全生徒では16%だ。少ないのは黒人とアジア系。全生徒の25%を占める黒人は18%、同18%のアジア系は12%だった。黒人やアジア系の保護者は、学校の安全に懐疑的なようだ。専門家は、市の努力不足を指摘する。
公立校の全生徒100万人中、遠隔授業を選好したのは70万人と多数を占める。対面授業を選好しても受けられていない中高生11万人がこれに加わる。活動家団体TNTPのジャミラ・ニューマンさんは「今こそ、遠隔授業を充実させるべきだ」と声を大にする。必要な学習用デバイスが届いていない生徒は6万人。ワイファイにアクセスがないといったインフラ面での問題もある。 さらに、効果的な遠隔授業の仕方についても市全体の方針はなく、個々の教師の工夫に任されている状態だ。ブルックリン区の高校で数学を教えるマット・ベーカーさんは「やっていることが効果的かの判断は困難。そうであるよう、祈るだけ」と話す。