パンデミックの影響で人件費引上げの余裕がないとの経営者らからの反対の声があがる中、ニューヨーク州では、最低賃金の引き上げが進められている。ウォールストリートジャーナルが4日、報じた。
ニューヨーク市ではすでに、2019年末までに全労働者の最低賃金が時給15ドル(約1550円)に引き上げられた。ロングアイランドとウエストチェスター郡では、昨年12月31日の時点で、最低賃金が13ドル(約1340円)から14ドル(約1440円)に引き上げられ、年内に15ドルに達する予定。州内のその他の地域では、これまでに11.80ドル(約1216円)から12.50ドル(約1288円)に引き上げられている。
数年間かけて最低賃金を15ドルに引き上げるという16年に制定された州法は、予定された引き上げを進める前に、最近の最低賃金の引き上げによる影響と経済の健全性を分析することを州予算局に義務付けている。州労働局のロベルタ・リアドン局長は、賃金の引き上げを延期する選択権を有していたが、引き上げの影響を受ける労働市場である市以外の地域が州の景気回復をリードしていることや、小売、レジャー、ホスピタリティ業界などで働く最低賃金労働者は、パンデミックによる多大な被害を受け、支援が必要であると、引き上げを進める決意を説明した。経営者らからは、「収益が記録的に減少する中、経費を増加させる」と反対の声があがっている。