ニューヨーク市内の2020年の高校卒業率が78.8%と、前年より1.5%上昇したことが14日に判明した。コロナ禍で、州の統一テスト「リージェント試験」が中止され、市が卒業のハードルが下げたことが原因とみられている。ウォール・ストリート・ジャーナルが14日、報じた。
「 歴史的かつ永続的な機会不均等が隠されてしまう」と指摘するのはディア・ブライアントさん。教育の現場における人種や経済状況による差別撲滅を目指す非営利団体、エデュケーション・トラスト・ニューヨークの副責任者だ。「卒業生は、昨年3月からまともに授業を受けていない。大学進学や就職の準備ができているかは疑問」としている。コロナが蔓延し始めると、市では学校を閉鎖。遠隔授業では出席を取ることさえ実施していないのが現状だ。
州全体でも卒業率は83.4%から84.8%へ上昇。白人とアジア系高校生の卒業率は横ばいだが、黒人とヒスパニック系が好転している。ただ、人種格差が埋まるほどではない。州教育関係者は「リージェント試験を受ける必要がなくなったことが上昇の原因」とし、「コロナ禍で教育を提供しながら、安全や健康を確保する取り組みに奔走した」と述懐。向こう2年もこの傾向が続くとみており、「データを分析しながら、コロナの影響の全容を把握したい」と語っている。