おうち時間をちょっと楽しくする 大石育子のくらしごと
連載3年目となる今年は、ニューヨークで私が愛用している暮らしまわりの「もの」や「しごと」についてご紹介してまいります。自宅で過ごす時間が増えている今、皆さんのおうち時間を充実させる心地よい空間づくりのヒントにしていただけたらうれしいです。
1月 招き猫
昨年は世界中が大変な困難を強いられた1年となりました。2021年が少しでもいい方向に向かうことを願いつつ、年明け1月は私がとても大切にしている縁起物をご紹介したいと思います。
招き猫との最初の出会いは、結婚のお祝いに豪徳寺の「招福猫児(まねぎねこ)」をいだいたこと。おかげさまで我が家はこれまで、健康でたくさんの方々とのご縁に恵まれてきました。ずっと家族の守り神として私たちを見守ってくれた招き猫はもちろん、一緒に海を渡りました。
ニューヨークで暮らすようになってから、たまたま立ち寄ったバカラで招き猫を発見!惹きつけられるように購入しました。ところが、この猫が我が家に来てから自分たちでも驚くほど幸運が続き、とても大切な存在に。それ以来、招き猫を集めるようになり、我が家にとって招き猫は、なくてはならない存在となりました。
日本のバカラでは専用の座布団が売られているようですが、米国では赤いフェルトが1枚付いていただけで見た目もパッとしなかったので、自作の赤い座布団に座らせています。何年か前にピーコさんがテレビでバカラの招き猫を集めていると話してから人気になったとも聞きます。
招き猫の置き方にもご注意を
招き猫は置く場所も大切ですが、その前に立ち位置が決まっています。上げている手が内側にくるように置かなければいけません。右の写真が正しい立ち位置です。上げている手が外側だと、万歳のポーズになって、「お手上げ」という意味になってしまいます。たまたま反対に置いてしまったときには、夫から、「だから最近、悪いことが多かったんだ!」と文句を言われました。
招き猫はまず、目線より高いところに。そして扉の方向に向かせて置くと良いようです。これは、外の良い運気を招くから。逆に扉に背を向けて置くと家の中にある良い運気を吸い取ってしまうそうです。
右手:金運左手:人(客)を招く
黒い招き猫:魔よけ、厄除け
赤い招き猫:病除け、健康長寿
*色によってご利益が違うそうです
豪徳寺のタマ伝説
招き猫発祥の地とされるのは東京・世田谷にある豪徳寺。ここは彦根藩主、井伊家の江戸の菩提寺として知られています。
2代目藩主の井伊直孝が鷹狩りの帰り道に、門前で手招きをする1匹の白猫に導かれて寺に入って休憩していると、あたり一帯は激しい雷雨に。住職の愛猫タマのおかげで落雷の難を逃れた直孝はいたく喜び、荒れ放題だった寺を改築して井伊家の菩提寺にしたと伝えられています。
私たちが知っている一般的な招き猫は小判を持っていますが、豪徳寺の招き猫は小判を持っていません。それは、「招き猫は機会を与えてくれるものであって福そのものではない。それを生かせるか否かは本人次第」という教えが込められているからだそうです。豪徳寺の招き猫は右手を挙げています。それは、「左手は武士にとって不浄の手だから」だそう。さすがは井伊家の菩提寺ですね。
今月のフィンガーフード
〜生ハムのムース〜
簡単にできておつまみにもピッタリ、そして見た目も可愛いフィンガーフード。今年はこの楽しさもお伝えしていきたいと思います。ご紹介する生ハムのムースは、パンに乗せてトースターで軽く焼けば朝食代わりに、サラダのディップにも重宝します。
【材料】
・生ハム 150g(薄切り10枚ほど)
・生クリーム 120cc
・ブランデー 小さじ1
・無塩バターまたはクリームチーズ 40g
・粗びきコショウ 適宜
・ボーディンサワードウ(右記を参照)またはクラッカー
・飾り(レモン、ハーブ、オリーブ、イクラなど)
★生ハムはパック入りの安いものでよい。2〜3枚は飾りにとっておき、残りをムースに使う。
【作り方】
①生ハム(8枚)を細かく切る
②常温で柔らかくした無塩バター、生クリーム30g、ブランデーを①と合わせ、フードプロセッサーにかける(フードプロセッサーがない場合は、包丁で生ハムがペースト状になるまで叩き、ボウルで混ぜ合わせる)
③残りの生クリームを2回に分けて②に入れ、素材がなじんでムース状になるまで混ぜ合わせる
④クラッカーの上にムースを盛り付け、生ハムを縦横十字に切って4枚にし、ムースの周りに巻き付ける
⑤レモンとハーブ、オリーブ、イクラなどを飾る
今月使ったおすすめアイテム
BOUDIN SOURDOUGH
BY BOUDIN SF
170g 6oz / 5ドル99セント
カリカリの皮と柔らかく歯ごたえがあり、ほのかな酸味がするドウが特徴のパン。買い置きしておけばすぐに使え、そのまま食べてもおいしいので私の強い味方です。最寄りのスーパーマーケット、またはインターネットで購入できます。
筆者:大石育子
インテリアコーディネーター、食空間プランナー、英国式紅茶インストラクター。日本フィンガーフード協会認定講師。食空間プロジェクト(FSPJ)認定サロン、初級ディプロマ発行校Atelier de Ikuko New York主宰。「東京ドーム・テーブルウェアフェスティバル」特別審査部門で2019、2020年と2年連続入選、2020年、テーブルウェア・コーディネート部門入選、特別審査部門・奨励賞受賞。日本クラブカルチャー講座講師。
http://atelierdeikukony.amebaownd.com