NY市の劇場関係者が健康危機に  閉鎖続き「住居を取るか、保険を取るかの選択」

 ニューヨーク市内の劇場関係者が、公演の中止が続いている影響で健康面での危機に直面している。ウォール・ストリート・ジャーナルが26日、報じた。

 ブロードウェーなどの劇場が閉鎖して10ケ月。閉鎖期間は少なくとも5月末まで続くことが決定している。俳優やステージ関係者が参加する俳優労働組合による健康保険は現在、加入者が5509人。2019年末の7200人から25%程度減っている。88%の財源を担う劇場などの雇用主からの拠出は見込めない。保険管理者は「悲しいことに、状況を好転させることはできない」と、加入者の自己負担を増やし、加入条件を厳しくした。

 ミュージカル「プロム」で2019年のトニー賞にノミネートされたケイトリン・キンヌネンさん(29)も4月末に健康保険を失う。糖尿病の治療に毎月5000ドルの経費がかかる。ワシントン州の両親の下に一時身を寄せ「皆保険は必要。特に持病がある場合、保険をなくすのは本当に恐ろしい」と訴える。低所得者向け医療費補助制度(メディケイド)を申請するつもりだ。

 演奏家やテレビ・映画関係者の組合も状況は同じ。失業者向けのつなぎ保険(Cobra)や州による健康保険(オバマケア)も保険料が高額で手が出ないという。フリーランサーズ組合のラファエル・エスピナル組合長は「住居を取るか、保険を取るかの選択に迫られている」とため息をつく。

「ティナ」公演中止の張り紙(Photo : Yurika Fukagawa / 本紙)

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