ビル・ゲイツ「コロナ禍は2022年まで続く」
コロナ収束の予測で、もっとも悲観的なのは、ビル・ゲイツの「2022年の初めまで新型コロナウイルスの再拡大のリスクはある」発言だろう。多くの人間が、2021年夏頃までの収束を期待しているなか、こう言われてしまうとショックが大きい。
ビル・ゲイツがCNNのジェイク・タッパーのインタビューに答えてこう述べたのは、昨年12月13日。ファイザー/ビオンテックのワクチン接種が開始される前日、全米が7日連続で、確認感染者数、入院者数、死亡者数の記録を更新した日のことだった。
このとき、ビル・ゲイツは、これまでの寄付10億ドル(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団による)に加え、2億5000万ドルの追加寄付を発表。高い接種率を確保すべきことを強調し、接種希望者が6割程度にとどまっていることに対して危惧してみせた。
以下は、ビル・ゲイツの発言の要約だ。
−−−−ワクチンが広く利用できるようになるまでの数カ月間にCOVID-19の危機がどのくらい悪化すると考えていますか?
「悲しいことに、次の4〜6カ月間は最悪の流行になるかもしれない」「予測では20万人以上の追加的死者が出るかもしれない。ただ、私たちが、マスクをして密にならないというルールを守れば、いくらかは防げるかもしれません」
−−−−カリフォルニアのギャビン・ニューサム知事は、新たなロックダウン令を発動するとしているが。
「悲しいかな、それが適切だと思う。問題は学校の開校を継続するかどうかの判断で、これは複雑な問題です」
−−−−今年の1月に私たちが普通だと思っていた生活が完全に戻るのはいつになると思いますか? マスクなし、ソーシャルディスタンシングなしの—-。
「2022年の初めまでは新型コロナウイルスの再拡大のリスクはあるでしょう」
感染者数は桁違いに少ないのに「緊急事態宣言」
2021年が明けたいまの時点(1月4日)で、世界の累計感染者数は8520万人、累計死者数は184万人(ジョンズホプキンズ大のデータ)。このうち、アメリカは累計感染者数2070万人、累計死者数35.2万人である。
それに比べると、日本は、数値的には圧倒的に低い。日本の人口はアメリカの人口の3分の1強ということを考慮しても、累計感染者数24.5万人、累計死者数3429人は、桁違いに少ない。
となれば、感染拡大は止められるはずなのに、政府の無策から拡大は収まらない。もうだいぶ前から、「医療崩壊」が叫ばれ、ここにきて事態は切羽詰まった。
そのため、“フリップ百合子”(小池百合子東京都知事)ら一都三県の知事の「緊急事態宣言」の“丸投げ要請”を、“原稿読みガースー”(菅義偉首相)は、仕方なく受け入れた。すでに、報道でご承知のように、1月8日から、日本はロックダウンに入る。
といっても、これは“なんちゃってロックダウン”で、欧米のような強制力がないから、どうなるかわからない。しかも、日本は、欧米に比べ、ワクチン接種で大きく立ち遅れてしまった。
英調査会社の「正常化はいつになる?」予測
この社会がコロナ以前の社会に戻る、つまり社会が正常化するためには、やはりワクチンが決め手になる。昨年12月、まずアメリカが先行してファイザー/ビオンテックのワクチンを開始したが、それと時を同じくして、英医療調査会社エアフィニティーがある調査結果を発表した。
それは、「ワクチンが各国・地域で普及し、社会が日常に戻る時期はいつか?」を予測したものだ。その目安は、「集団免疫」の獲得。その時期が各国のワクチンの確保状況、接種状況で異なるというわけだ。
次が、各国の社会が正常化される時期だ。
アメリカ:2021年4月
カナダ:2021年6月
イギリス:2021年月7月
ユーロ圏:2021年9月(ドイツはもっと早い)
オーストラリア:2021年12月
南アメリカ諸国:2022年3月
日本:2022年4月
中国:2022年10月
インド:2023年2月
ロシア:2024年以降
はたして、このとおりに行くかは本当にわからない。ただ、アメリカの今年4月はあまりにも早く、日本の2022年4月はあまりにも遅い。しかも、日本の2022年4月は先進国ではビリである。
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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