「大人の対応」とは「弱腰」「譲歩」のこと
茂木は、東大、読売新聞、ハーバード大学行政大学院、マッキンゼーと、外相としての経歴、資質は申し分ないが、外国人コンプレックス(=内弁慶)がある。それは、西欧人だけかと思いきや、中国人に対してもそうだった。
茂木は、2018年の日米貿易交渉(FTA)で、外国人コンプレックスを遺憾なく発揮して、交渉をまとめた。要するに、ほぼアメリカ側に完全譲歩をしたうえ、この交渉を「日米物品貿易協定」(TAG:Trade Agreement on Goods)という造語を使ってごまかした。アメリカ側の声明文書には「FTA」と書かれていて、そんな言葉は存在しないのに、外務省と茂木は平然とこの言葉を使ったのだ。
しかし、今日まで、大手メディアはこのような日本に不利になることを追及しない。たまに追及することがあるが、そのとき外務省は「大人の対応」という言葉を使う。
しかし、その本当に意味は「弱腰」「譲歩」ということだろう。
国務長官ブリケンは「親中派」なのか?
日本は、経済援助をしている途上国以外では、自分の意見、立場を表明できない国である。安全保障をアメリカに丸投げし、アメリカの「属国」である以上、アメリカの外交スタンスが決まらなければなにもできない。
その意味で、バイデン政権の外交政策は重要である。トランプ前大統領は、とんでもない人間だったが、対中国に関してだけはマシだった。ただ、対中包囲網を敷くにあたって、同盟国を重視せず、日本からもEU諸国からも「用心棒代」(米軍駐留経費)を増額して巻き上げようとした点は、最低最悪だった。
そんなトランプ政権の対中政策を、バイデン政権はどれだけ引き継ぐだろうか?
これまでの観測、報道では、強硬路線は変わらないだろうという見方が多い。もはや、中国が異質国家であることがはっきりしたからだ。
しかし、閣僚人事を見ると、オバマ政権でも要職に就いていた顔ぶれが非常に多い。となると、オバマ政権のときと同じような宥和政策を取る可能性も否めない。
そこで、外交の肝心要となる国務長官に就任するアントニー・ブリンケンが最大の注目となる。彼はオバマ政権での国務副長官。対ロシアでは強硬派で、
ウクライナ侵攻やクリミア併合には断固反対し、ロシアを孤立させる政策を進行させた。ただ、中国に対しては経済重視で、どちらかと言えば「親中派」だった。
これまで、メディアに対しても「中国との関係を完全に断ち切ることは非現実的だし、かえって逆効果だ」と発言してきている。NY出身でハーバード、コロンビアロースクールという切れ者だが、どう出るかはわからない。
(つづく)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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