奴隷解放論者の家「歴史的建造物」 NYの委員会、満場一致で決定

 ニューヨーク市歴史的建造物保存委員会(LPC)は2月初旬、ブルックリン区ダウンタウンにある奴隷解放論者の家を歴史的建造物に指定する決定を満場一致で決めた。amニューヨークが報じた。

 この家はダフィールド通り227番地にある長屋の1部。1851〜63年、奴隷解放論者、トーマス・リー・テゥルーズと妻のハリエットが住んでいたことで知られる。地元の言い伝えでは、南部の奴隷解放に使われた「アンダーグラウンド・レイルロード(地下鉄道)」の停車場として使われたという。

 その後増築されたが、今も当時の面影をとどめている。現在、建物を保有するディベロッパーのサミエル・ハサナブ氏は2019年、10階建てのアパートビルに建て替える計画を申請。これに抗議運動が起こり、シャーレーン・マックレイ市長夫人やレティシア・ジェイムス州司法長官が歴史的建造物への指定を支持した。ジェイムス氏は「ニューヨークと奴隷解放運動を結びつる重要な意義を持つ。全ての黒人ニューヨーカーの誇り」と強調する。

 今回指定を受けたことで、改築や解体を行う場合には、事前にLPCの許可が必要で、改築計画は事実上棚上げとなる。所有者の弁護士は、「経済的には痛手だが、LPCの決定を受け入れる」としている。

歴史的建造物に指定された奴隷解放論者の家 (googleストリートビューより)

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