このままでは日本人だけが「自粛生活」か?
政府関係者によると、現在、政府はワクチン接種の予約や確認ができる管理システムを必死になって構築しているという。したがって、「ワクチンパスポート」は、このシステムの一環として発行されることになるだろうという。
また、その一方で、「接種証明書」を、マイナンバーカードを使って、コンビニなどで取得する仕組みも検討されているという。現在、コンビニでは、マイナンバーカードを使って住民票の写しなどを入手できるが、これと同じ仕組みだという。
いずれにしても、このような構想・計画はあるが、具体的なシステムの構築と運営に関してはなにも進んでいないようだ。このままだと、「ワクチンパスポート」は、デジタルではなく、紙の証明書の発行になりかねない。
たとえば、現在、海外赴任や留学の際に、相手国に必要な予防接種をしたかどうかの証明書が必要になる。このとき、医療機関などで英文による接種証明書を発行してもらうが、それと同じことになるのではなかろうか。
となると、その紙を私たちは常に持ち歩いて、国内を移動し、さらに海外に出かけたときはイミグレーションで、それを提示しなければならない。まさか、そんなことにはならないとは思うが、政府がやることは信用できない。
さらに、ワクチン接種が遅れれば、「ワクチンパスポート」保持者も増えない。それは、社会の正常化が大幅に遅れることを意味する。世界各国の人々が「ワクチンパスポート」で自由に移動できる、ビジネストリップや観光旅行が自由にできるとなっても、日本人だけができない。
国内に閉じこもって、いつまでも「自粛生活」を続けなければならない。そんなことは想像したくもないが、そうなりかねない状況だ。
(了)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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