おうち時間をちょっと楽しくする 大石育子のくらしごと3月

 

おうち時間をちょっと楽しくする 大石育子のくらしごと

 連載3年目となる今年は、ニューヨークで私が愛用している暮らしまわりの「もの」や「しごと」についてご紹介してまいります。自宅で過ごす時間が増えている今、皆さんのおうち時間を充実させる心地よい空間づくりのヒントにしていただけたらうれしいです。

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3月 シェリー

 今月は春の足音が聞こえてきそうなシェリー(Shelley)のうつわをご紹介します。シェリーは、1853年に英国のスタッフォードシャーで創立した窯。時代によってフォリー、ワイルマン、シェリーなどと経営者の苗字により窯名が変化します。ワイルマンは1872~1925年、シェリーは1925年~66年。美しい陶器を作る英国の代表的な窯でしたが、66年に閉鎖となりました。  シェリーは、花柄や幾何学模様など、時代ごとにさまざまなデザインを生み出しています。カップのシェイプは100種類以上もあって、それぞれに名前が付いています。このティーセット=写真左と下=は、1940年代に愛された「ローズ&レッドデイジー」シリーズで、形状はディンティシェイプと呼ばれるものです。デザイナーのローランド・モリスが1896年に考案。シェリー窯の代表的な形で、現在でも世界中のコレクターから愛されています。上から見ると、お花が咲いているように見えませんか?

10年以上前にブリムフィールドのアンティークショーで出会ったティーセット。 高価なことがあるにもかかわらず、すぐに売れてしまうので、見つけたときが手に入れるチャンスです

 

戦時中に作られた純白のシェリー

 純白のディンティシェイプのシリーズもシンプルながら形がかわいいので、シェリーらしくて気に入っています。こちらは縁取りに金彩が施されていますが、白一色のものもあります。第二次世界大戦中に作られたものが多いのですが、それは戦時中、英国内で彩色されたテーブルウェアを作ることが禁じられていたからだそうです。シェリーは海外にも輸出していたため、今でも米国のアンティークショップで見かけることがあります。絵柄がなくても、その独特の美しい形状ですぐに分かるシェリー。もうアンティークでしか手に入りません。大切にしていきたいですね。

 優雅な形と繊細な絵付けのワイルマン時代のフォリー(Shelley Wileman Foley)。私のアンティークの師匠がお持ちのものですが、実物の美しさに圧倒されました。ティーポットまでおそろいで現存しているのは本当に貴重。コレクター垂涎の逸品です。

 

今月のフィンガーフード

~バタフライカップケーキ~

 手軽にできておつまみにもピッタリ、そして見た目も可愛いフィンガーフード。今月は、イースターをイメージしてバタフライカップケーキを作ってみましょう。ここでは、市販のカップケーキを使って、飾りだけ楽しむバージョンをご紹介します。

 

【材料12個分】

・ミニカップケーキ(12個入り)
・チーズクリーム(作り方は2月の連載を参照)
・ミニエッグ 
・スプリンクルズ
★ミニエッグとスプリンクルズはスーパーなどで手に入る

★飾りを鳥の巣にする場合
①まで作り方は同じ ③で、平らにしたカップケーキの上にチーズクリームを絞り、スプリンクルズを散らして真ん中にミニエッグをのせる。

 

今月使ったおすすめアイテム

発酵バター ・Echire Doux・Echire Demi Sel 250g/9.99ドル(Armish Market)
・Lescure 250g/5.99ドル(Morton Williams)

 大のバター好きの私は、用途に応じてたくさんの種類のバターを冷凍庫に常備しています。料理はもちろん、スコーンやマドレーヌ、パウンドケーキのようにバターの風味が味を左右する焼き菓子を作るときは発酵バターが欠かせません。代表的な発酵バターはフランスのエシレ(Echire)。Douxは無塩、Demi Selは有塩です。レスクール(Lescure)はミルクの風味が強いのが特徴。プレジデント(President)はフランスの家庭で使われている一般的な発酵バターです。アイルランド産のケリーゴールド(Kerrygold)やイズニー(Isigny Sainte-Mare)はバランスの良い味でパンにたっぷり塗るとおいしいですよ。

 

 

 

 

 

筆者:大石育子

インテリアコーディネーター、食空間プランナー、英国式紅茶インストラクター。日本フィンガーフード協会認定講師。食空間プロジェクト(FSPJ)認定サロン、初級ディプロマ発行校Atelier de Ikuko New York主宰。「東京ドーム・テーブルウェアフェスティバル」特別審査部門で2019、2020年と2年連続入選、2020年、テーブルウェア・コーディネート部門入選、特別審査部門・奨励賞受賞。日本クラブカルチャー講座講師。

http://atelierdeikukony.amebaownd.com 

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