連載491 山田順の「週刊:未来地図」とうとう株価は3万円突破! 「高所恐怖症」患者激減でバブル崩壊は遠のく?(中)
一般投資家もみな「強気」というバブル
私は「Yahooニュース」のコメント欄(ヤフコメ)をよく読む。一般の反応が知りたいからだ。で、今回の3万円台回復に、どう一般の投資家が反応したかというと、これまた、みな強気である。しかも、バブルだとわきまえたうえでの強気だ。
たとえば、《「実体経済と乖離している」だの「日銀が買い支えている」などと文句を言う人が多いうちはまだまだ上がる》《投資家にとって、今年はめちゃくちゃなチャンス。投資しないなんて考えられない》《バブルだから危ないと言うけど、誰もやめないうちにやめるなんておかしい》《バブル以前の40年前と比べて日本の株価は3倍程度。その間アメリカは40倍、ドイツですら20倍以上になっているのだから、この程度は序の口》などだ。
このコロナ禍のさなか、日本株がどうして上がり続けるのか?その根本的な理由に関しては、すでに1カ月前に「Yahooニュース」に書いたので、ここでの説明は省く。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20210107-00216492/
ただし、これだけは言っておきたい。
じつは私自身も、日銀が買い占めをやめないかぎり株価は上がり続けると、信じているということだ。
株投資の格言に「音楽が鳴り響いている間は踊り続けるしかない」というのがあると聞く。いまの状況は、まさにこれに当たるのだろう。
売り手が少ないのだから株価は上がるだけに
ここで、日経平均に関して、もう少し踏み込んで考えてみたい。株価上昇の理由は、おカネの量を増やす「量的緩和」と、政府のコロナ対策のための給付金などのバラマキにある。
が、それは潜在的、根本的理由であって、現実的には、もっと短絡的なものだ。売りがほぼないから、株価は上がるほかないのである。
モノの取引(トレード)は、売り手と買い手がいてはじめて成立する。そして、売り手が多くて買い手が少なければ、モノの値段は下がる。逆に売り手が少なくて買い手が多ければモノの値段は上がる。
現在の株式市場は、まさにこれで、極端に売りが少ない。
株のトレードが成立するためには、誰かが売りに回らなくてはならない。つまり、いままで買ってきた投資家が売りに回らなければ、株価は下がらないばかりか、上がり続けるほかないのだ。
では、いままで買ってきたのは誰だろうか? それは、外国人や機関投資家、GPIF、日銀、そして個人投資家である。もちろん、その筆頭は日銀だ。すでに日銀のETF買いは約45兆円に達し、市場全体の7%を占めるまでになった。では、日銀はETFを売るのだろうか?売るわけがない。日銀が売らないのだから、ほかの投資主体も、ほぼ全員売らない。
前記したように、いまの市場には強気な投資家しかいないのだから、売りはなく、株価は下がりようがないのだ。
(つづく)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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