連載501 山田順の「週刊:未来地図」トランプ2024年出馬に意欲。 アメリカの政治腐敗と分断はますます深刻化する!(中2)

連載501 山田順の「週刊:未来地図」トランプ2024年出馬に意欲。 アメリカの政治腐敗と分断はますます深刻化する!(中2)

結局、共和党はトランプに乗っ取られた

 弾劾裁判で共和党側に7人の反逆者(この言い方は適切ではないが)が出たことで、共和党は揺れた。しかし、マコーネルやロムニーが、再度、トランプ支持を打ち出したので、流れは変わってしまった。

 テッド・クルーズのように、いまだに「選挙結果は盗まれたのだ」と主張している議員は別として、日和見の議員たちは、トランプに逆らうと刺客を立てられることを恐れて態度を変えてしまった。

 とくに来年の2022年中間選挙で全議席の改選がある共和党下院議員の多くは、トランプの人気に当選を賭けるほかなくなった。

 結局、トランプの岩盤支持層は根強い。トランプは大統領任期中、支持率が1度も50%を超えなかった珍しい大統領だが、40%以下になることもなかった。

 これは見方によっては大変なことで、この岩盤支持層に逆らうことはできない。このことは、裏を返せば、共和党にはトランプ以外に、国民の心をつかむリーダーがいないことを表している。

 トランプは、マコーネルの弾丸裁判でのスピーチを受けて、マコーネルを激しく非難した。「共和党は、マコーネルのような政治指導者が率いるかぎり、尊敬され、強くなることはない」

 そして、共和党上院トップの交代を要求したのだ。要するに、共和党はもう“オレ様の党”と言ったのに等しい。そして、これを受け入れてしまうのだから、マコーネルもたいした人物ではない。弾劾裁判のスピーチはポーズかもしれない。

マコーネルは腐敗したリーダーなのか?

 ミッチー・マコーネルと言えば、ケンタッキー州のタバコ産業をバックにして富を築いてきた議員として知られる。かつて「ワシントンポスト」紙は、マコーネルがタバコ産業を擁護してきたのと並行して、資産を増やしてきたことを告発する記事を掲載している。

 ちなみに、ケンタッキー州は喫煙によるガンの発生率が全米一高い州である。ケンタッキー州ルイビルにあるルイビル大学には、マコーネル・センターというチャリティ機関があり、ここのスポンサーはタバコ産業である。

 民主党系のメディアによると、マコーネルは共和党でもっとも腐敗した議員の1人とされる。

 2020年の総選挙で、ロシアが再度選挙干渉を行うことを、議会の諜報当局が指摘し、特別捜査官ロバート・ミュラーも警告した。それを受けて、議会は超党派で「選挙安全法案」を提案したが、マコーネルはこの法案の投票を阻止した。

 アメリカでは、選挙プロセスを連邦化するような法案がたびたび出されてきたが、マコーネルは、なぜか常に反対してきたのである。

 また、彼の妻は台湾生まれのイーレン・チャオだ。マウント・ホリヨーク卒の才媛で、その後ハーバードでMBAを取得した彼女は、ブッシュ・ジュニア政権では労働長官、トランプ政権では運輸長官を務めた。

 この夫人の家族の人脈から、マコーネルには中国企業との深いつながりも指摘されている。チャオの父は外省人で、上海交通大学で江沢民と同級生だったというのだ。

(つづく)

この続きは3月29日(月)発行の本紙(アプリとウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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