連載579 山田順の「週刊:未来地図」コロナワクチン誕生秘話(2) なぜ日本はワクチン開発ができなかったのか?(完)
ワクチンが3つある中国をバカにできない
これ以上、日本のワクチン開発とその確保の遅れを述べても虚しいだけなので、この辺にしておく。ただ、今日までの失敗を、この先、取り返さなければ、日本に未来はない。
今後、コロナがインフルエンザと同じように、毎年のように流行を繰り返すと仮定すれば、いまのままでいいわけがない。やはり、自前のワクチンを持ち、常に将来に備えておくことが重要だ。
日本人は中国人に対しての敵対意識が強い。常に、対抗心を燃やしている。しかし、ことワクチンに関しては、中国のほうがはるかに安全保障上の手を打っている。欧米ワクチンに比べて有効性は劣るとされるが、すでに中国にはシノファーム(医薬集団総公司)をはじめとして、3種類の独自ワクチンがある。
また、医薬品大手の上海星医薬集団は、ビオンテックと業務提携し、国内でビオンテックの技術によるmRNAワクチンの製造に乗り出した。
日本人は、とっくの昔に中国人を見下せないところに追い込まれている。ただ、いまだにそれを認識できない人々がいる。
さらに強力なウイルスが出現したらどうする?
前回の記事で紹介した、mRNAワクチンの開発の母、ハンガリー人のカタリン・カリコ博士は、「今後、mRNAワクチンの製造技術によって、多くのワクチンがつくられていくでしょう」と語っている。
彼女がいなければ、mRNAはできなかっただけに、この言葉は重要だ。
また、世界中の多くの感染症の専門家は、「今回の新型コロナウイルスが最後のウイルスではない。今後、さらに強力なウイルスが出現する可能性がある」と警鐘している。
はたしてそのときまでに、日本政府、政治家と官僚は、変われるだろうか? 変われなければ、次のパンデミックで、日本は世界の中で大きく後退してしまうだろう。
「元先進国」が、間違いなく確定してしまうだろう。
(了)
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【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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