連載641 山田順の「週刊:未来地図」 誰が新首相でも日本の将来は変わらない 人口減少社会の恐ろしさ (下)

連載641 山田順の「週刊:未来地図」 誰が新首相でも日本の将来は変わらない 人口減少社会の恐ろしさ (下)

(この記事の初出は9月28日)

総人口、生産年齢人口の減少がデフレの真因

 自民党総裁候補4人の政策も、野党の政策も、ひと言で言ってしまえば「バラマキ」である。財源が税金か国債なら、それは誰かから奪ったおカネでほかの誰かを助けると言っているにすぎない。

 つまり、おカネで票を買うポピュリズムで、そのおカネは他人のおカネだから、ほとんど詐欺だ。

 高市氏は、自身が尊敬しているというサッチャー元首相の言葉「金持ちを貧乏にしても、貧乏人は金持ちにはならない」を何度も引用しているが、その意味をわかっているのだろうか。

 持っている者から富を取り上げて、それを持たざる者に配っても、経済は成長しない。国は豊かにならない。分厚い中間層などできない。

 いずれにしても、財政出動や減税を主張するなら、それが時限的措置であっても、財源を提示して政策を議論すべきだ。そうでなければ、誰でも「私ならこうします」と言える。それはあまりにも無責任であり、最終的に国民を苦しめる。

生産性を向上のためにも人口増が必要 

 人口増によって労働力人口が増加して成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼んでいる。この反対の現象が「人口オーナス」だ。

 日本は、この人口オーナスに直面し、経済成長が止まり、この30年間、ずるずると低迷してきた。そして、コロナ禍で明らかになったように、デジタルを含め多くの面で先進国と言えないところまで転落した。

 生産年齢人口が減っても、1人あたりの生産性を向上させればいいという意見がある。しかし、人口減少社会で生産性が向上したという例はない。

 人口減少を止めなくとも、現状の人口が維持されれば、デフレ圧力は弱まる。また、人口構成が若返れば、イノベーションが生まれ、生産性の向上に結びつく。しかし、いまの日本は、人口減少と高齢化が進む一方になっている。 

(つづく)

この続きは11月2日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。


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