連載669 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(中1)

連載669 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(中1)

 

ネットとAI時代、誰もほかの誰かを出し抜けない

 なぜ、アクティブ運用はパッシブ運用に勝てないのだろうか?

 その答は単純である。アクティブ運用で実績を上げるためには、銘柄を選ばなければならない。これに失敗すれば、投資は失敗する。そのため、銘柄選定にあたっては、ほかの運用者がまだ気がついていない投資価値にいち早く気付く必要がある。投資家あるいは投資家からの資金を預かるファンドマネジャーは、豊富な情報と鋭い投資眼を持っていなければならない。

 しかし、ネットで情報が自由に流れ、AIが瞬時に判断を下せるこの時代に、誰が人を出し抜く情報を得られ、鋭い判断を下せるだろうか。

「効率的市場仮説」(Efficient Market Hypothesis、EMH)というのがある。これは、すべての利用可能な情報が完全に市場価格に反映されているとする仮説で、いまの市場は、インサイダー取引が成立しない限り、誰に対してもオープンである。誰もほかの誰かを出し抜けない。

 投資信託などの統計では、アクティブ運用の投信やファンドの4分の3はパッシブ運用(インデックス)に負けている。日本のアクティブファンドでは、主に日本株に投資をするファンドの約7割がインデックスに勝てず、外国株に投資するファンドはほとんどが勝てていないという結果が出ている。

 ところがいずれ、このパッシブ運用が終焉する日が来る。市場全体に投資しても、市場そのものが収縮してしまうのである。

人口爆発は終わり、やがて減少が始まる

 2021年8月の日本経済新聞に『人類史 迫る初の減少』という記事が掲載された。この記事によると、世界の人口は爆発的な膨張が終わり、初めて下り坂に入ろうとしているという。また、ほかの新聞、経済誌などにも、同じような記事が次々と掲載された。

 つまり、人口増とともに続いてきた経済成長はやがて止まるというのだ。

 こうした記事の情報源は、ワシントン大学が2021年7月に発表した人口予測レポートである。これまで国連は、世界人口は「2100年に109億人となるまで増え続ける」(中位推計)として人口爆発を警告してきた。ところが、ワシントン大学は、「2064年の97億人をピークに世界人口は減少する」と発表したのである。

*参照グラフ:世界人口の推移グラフ(日経新聞掲載のもの) https://foimg.com/00065/HjcGHY

 新型コロナによるパンデミックの報道でかき消された感があるが、このレポートの衝撃は大きかった。

 なぜなら、人口増と経済成長はパラレルで、人口が増えることで世界経済は成長を続けてきたからである。ところが、そうした歴史は21世紀の半ばで終わるというのだ。

(つづく)

 

この続きは12月14日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。  ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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