連載687  コロナ禍はオミクロン株出現で収束する可能性が。 WHOの言うことを聞いてはいけない!(下)

連載687  コロナ禍はオミクロン株出現で収束する可能性が。
WHOの言うことを聞いてはいけない!(下)

(この記事の初出は2021年12月14日)

 

弱毒化とは明らかに矛盾する規制強化

 こうなってくると、世界はコロナ禍から脱却しようと、これまでの規制を外し、元の世界に戻ろうとすると思われるが、実際はそうなっていない。いや、むしろイギリスのようにワクチン接種を前倒しにしたり、規制を強化したりしている。また、これまで、コロナの脅威をあおってきた多くの専門家たちも、「警戒を緩めきべきでない」と言い続けている。
 アメリカでは、CDCのファウチ所長が、オミクロン株の重篤性は低いと認める一方で、政府はいずれ3回目のコロナワクチン接種を義務化すると表明している。イギリスでは、3回目の接種の前倒しとともに、自宅ワークを奨励し、再ロックダウンも検討されている。
 チェコやオーストリアはすでに再ロックダウンを始めた。また、ほとんどの欧州諸国はワクチン接種の義務化に踏み切った。このように、オミクロン株の出現で、世界中が規制を強化し、ワクチン接種の徹底を計り出した。
 しかし、こうした措置は、新型コロナの弱毒化とは明らかに矛盾している。弱毒化して、風邪と同じになるなら、ワクチンも規制もいらない。もはや、単なる軽い病気だ。

WHOの権限強化を狙う「パンデミック条約」

 新型コロナの弱毒化は認めても、パンデミックを収束させたくない組織がある。WHO(世界保健機関)である。
 WHOは、11月末から12月1日にかけて、世界各国の代表を集めて特別総会を開き、「パンデミック条約」創設の議論を始めることを決めた。参加194カ国が合意したのは、次のようなスケジュールである。
 2022年3月までに最初の会合を開く。続いて2022年8月までに2回目会合を開き、2023年のWHO総会で経過報告を行う。そうして、2024年総会での条約を締結する。
 テドロス・アダノム事務局長は、「新型コロナウイルスによって、パンデミックに対応する世界のシステムが不完全であることがわかった」とパンデミック条約の必要性を強調した。
 パンデミック条約というので、WHOの専門家集団と世界各国が協力して、感染症対策に当たっていく。これまで各国バラバラだった対応を改めて、パンデミックを防ごうというものだと思われるだろう。
 しかし、それは表向きの話だ。本質は、WHOの権限の強化である。つまり、ロックダウンやワクチン接種の義務化などを、各国政府の裁量にゆだねるのでなくWHOが各国に強制的にやらせることができるようにしようというものだ。

権力欲で行動するテドロスという男

 パンデミック条約は、世界各国の主権を奪い、こと感染症対策に関してはWHOが取り仕切ることを容認する内容になる。 WHOは、ここ1年、「コロナや今後の世界的な感染症への対策を効率的に行うために、世界各国がWHOの要請に従うことを是とする新条約をつくるべきだ」と言い続けてきた。
 そのWHOの中心人物が、エチオピアの元外交官のテドロス・アダノムであり、彼ほど、権力欲が強い男はいない。そのため、国連の専門機関としての役割を忘れ、中国に擦り寄ったり、メガファーマの言いなりになったりしてきた。
 日本人としては、中国から始まったコロナ感染拡大の初期に、「パンデミックではない」と言った中国寄り発言、その後くるくると変わった見解に本当に惑わされてきた。そのとどめは、今年の東京五輪で、来賓VIPとして来日したことだろう。
 つまり、この男にとって、パンデミックは収束してはいけないのである。収束してしまえば、パンデミック条約の議論も後退するだろうし、ワクチン接種の義務化も進まなくなる。なにより、来年4月に行われる予定のWHO年次総会で行われる次期事務局長選での2期目当選が危うくなる。

(つづく)

 

この続きは1月20日(木)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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