連載709  岸田政権で「絶望未来」は深刻化 富裕層に続き若い世代まで続々と日本脱出 (中2)

連載709  岸田政権で「絶望未来」は深刻化
富裕層に続き若い世代まで続々と日本脱出 (中2)

(この記事の初出は1月11日)

 

人口減少という「確実な未来」の姿

 それにしても、日本には間違いない「確実な未来」が待ち受けている。予測は予測に過ぎないというものの、これだけは確実な未来だ。人口減少による国力の衰退である。
 現在、毎年約50万人の人口が失われているが、これはこの先さらに加速化する。日本人は急速に少なくなり、日本は高齢者ばかりの国、老いた国になっていく。
 国立社会保障・人口問題研究所の人口推移予測を見れば、あと20年もしない2040年に、日本がどうなっているのか、確実にイメージできる。
 2040年、日本のほとんどの市町村は人口が3割~4割減少する。なかには、半減してしまう市町村もある。
 とくに地方はひどい。あなたの周囲の人々は半数がいなくなり、しかも老人ばかりとなるのだ。街の商店は半分がなくなり、近所は空き家だらけに——。
 さらに10年後、2050年の総人口の推計値は約9700万人で、ピーク時の2005年の約1億2700万人に比べ約3000万人も減少してしまい、総人口に占める高齢者は40%近くまで上昇する。
 人口減少は、否応なく社会、経済を縮小させる。もはや「新自由主義からの転換」「経済再生」「格差是正」「分配」などと言っている場合ではない。

間違いなく「高負担・低福祉」社会になる

 人口減少を止められないまま、現在の国の姿、経済を維持しようとすれば、借金を重ねるか増税をするほかない。つまり、今後、国の借金=国債発行は増え続け、税金も上がる。私たちの子供や孫の世代は、私たち以上の高負担を強いられる。
 日本は間違いなく「高負担・低福祉」社会になる。
 現在と同じ年金、医療保健、介護保険などの社会福祉を2050年でも維持しようとすれば、計算上、国民負担率は8~9割に達する。つまり、所得の8~9割を国に持っていかれるわけで、そんな社会が成り立つわけがない。さすがの日本でも、現在のカザフスタンではないが、大暴動が起きるだろう。
 これは、仮定の話ではない。すでに、政府内では2030年をめどに年金受給開始年齢を70歳に引き上げるプランが検討されている。
 ただし、こうなることは何十年も前からわかっていた。だから、国民全体で取り組まなければいけない課題だったのに、政治家、官僚などこの国の上層部は、なにもしなかった。私たち国民も、口先だけでなにもしない政治家を選挙で選んできた。
 そのツケは、いったい誰が払うのか?

(つづく)

 

この続きは2月22日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。  ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

 

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