連載714 コロナ禍で深刻化するジェンダーギャップ
世界で最後の「女性差別大国」になるのか? (中2)
(この記事の初出は1月18日)
イケアのCMが「役割固定」として炎上
昨年暮れ、イケア・ジャパンのCMが、SNSで炎上した。一見したところ問題などないと思えたが、フェミニストは見逃さなかった。
CMでは、ある家庭内での光景が描かれていたが、その場面は、まず床に散乱した飲み物などが描かれた後、男性や子供がソファに座っているなかで、母親と思われる女性がポップコーンなどを運ぶという設定だった。
問題は、母親が最後まで座らないで、夫に対してかいがいしく振舞っていたことだ。
これに対して、「女性は召使いじゃない」「ジェンダーギャップを感じる」といった声が起こったのだ。いわゆる性による不平等CMと捉えられたのである。
私も見たが、このCMがネットで炎上するまでは、それほど気にもとめなかった。ステレオタイプすぎると思っただけだ。
しかし、このCMが日本だけであり、制作に当たっては日本法人が直接行ったことを思うと、やはり、日本社会にはジェンダーギャップに対する問題意識が薄いと思うようになった。これはやはりアウトだと思った。
日本の男性のほとんどは家事をしない
統計資料を見れば、日本の性別役割分担意識は、欧州諸国と比べるとはるかに強い。男性のすること、女性のすることをはっきり分けて考えている人間が多い。
内閣府が2020~2021年に実施した「少子化社会に関する国際意識調査」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「反対」する日本人の割合は56.9%だった(「どちらかといえば反対」を含む)。つまり、日本人の半数以上が、役割分担に対しては否定的だ。
しかし、56.9%というのは、じつは低すぎるのである。なぜなら、ドイツは63.5%、フランスは75.7%、スウェーデンにいたっては95.3%だからだ。
また、別の調査によると、意識はあっても行動としては、日本男性は家事をほとんどしないという結果が出ている。家事は夫婦共同で行うものとしながら、実際はほとんど家事をしていないというのだ。
最近は、「イクメン」などという言葉が広く使われるようになったが、育児にいたっては、1割もしていないという。
(つづく)
この続きは2月29日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。
山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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