悩める三島が晩年に書簡

Published by
共同通信
三島由紀夫、川端康成

 作家三島由紀夫が割腹自殺を遂げる8カ月前の1970年3月、自らの作品と現実の政治状況がかみ合わない悩みを打ち明けた書簡を、親交の深かったノーベル文学賞作家の川端康成に送っていたことが3日までに分かった。「私には心霊的能力、預言の能力が根本的に欠けてゐるやうです」などと書かれており、7日発売の文芸誌「新潮」5月号に掲載される。

 書簡は便箋2枚で、三島が体験入隊していた静岡県御殿場市の陸上自衛隊施設から送られていた。70年4月には、市ケ谷駐屯地での自決計画を周囲に明かしており、そうした決意を固めるに至る時期の心の内を記した内容と言える。

三島由紀夫が川端康成に宛てて送った書簡が掲載される文芸誌「新潮」の表紙