18人の直腸ガン患者、薬投与で寛解
「前代未聞」、「再現する必要がある」
直腸ガンを患った患者18人に対し、同じ薬を投与する臨床試験を行ったところ、全員の体内からガンが消え、寛解したとする論文が、このほど発表された。関係者から「特定の治療法で、すべての患者からガンを取り除いたとの研究はなかった」などと驚きの声が上がっている。ニューヨーク・タイムズが5日、報じた。
ニューヨーク市のメモリアル・スローン・ケッタリングがんセンターのルイス・A・ディアス・ジュニア博士は、英国の製薬会社グラクソ・スミスクラインの後援を受けて実施した試験結果を紹介した論文で「ガン治療の歴史上、初めてのことだと思う」と強調。研究に関与していないカリフォルニア大学サンフランシスコ校の大腸がん専門医アラン・P・ベノック博士も「すべての患者が完全寛解するのは前代未聞だ」と話す。
18人の直腸ガン患者は、化学療法や放射線治療のほか、排尿や性的機能障害につながる手術など、過酷な治療に直面してきた。これらの治療が終わったところで、ガンが消えるとは誰も思っておらず、手術を受けなければならないだろうと考えながらも、今回の試験に参加したという。
投与の結果、内視鏡検査やPET、MRIなどの検査でも、ガン細胞は発見できなかった。試験の過程で、重大な合併症を起こした人もいなかった。医療関係者からは、驚きの一方「前例がないものだが、再現する必要がある」、「小規模だが説得力がある」とさまざまな見方が交錯している。
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