連載798 どうやっても変われない日本
バイデン大統領来日とフィンランドのNATO加盟 (完)
(この記事の初出は5月24日)
スタグフレーションを放置したままでいいのか?
いまつくづく思うのは、日本は本当に変わらないということだ。なんとなく、これでやっていけるという安易な雰囲気のなかで、なにもかもが行われている。いま日本が直面している最大の問題は、円安が後押しするスタグフレーションの進行だが、岸田政権は恒例のバラマキだけで、なんとかしようとしている。
先日、4月の消費者物価指数が、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で2.1%の上昇と発表された。欧米に比べたら、まだまだインフレ率は低いが、この先、夏、秋と上昇率は欧米並みになるだろう。
いまの日本人、とくに戦後77年の平和のなかで暮らしてきた日本人は、現状維持のバイアスが強すぎると思う。これは老人ばかりの高齢国家になった宿命なのだろうか。
それとも、日本人とは元々そういうものなのだろうか?
本当になにか大きなことが起きなければ、日本は変わらなかった。黒船が来るとか、原子爆弾が落ちるとかしなければ、日本は変わらなかった。
今後、さらにインフレが進み、賃金が上がらない状態が続き、暮らしが追い詰められなければ、政治も人々の行動も変わらないだろう。もし、そんな局面がやってこないとしたら、ダラダラと衰退を続ける「斜陽国家」のなかで、私たちは、ずっと生きていかねばならない。
フィンランドのビールは本当においしい
NATO加盟申請に併せて、フィンランド東部の街サヴォンリンナのクラフトビール醸造所「Olaf Brewing」が、「Otan olutta」というブランドのビールを発売したというニュースがあった。
「Otan olutta」は、フィンランド語で「ビールをとる」という意味だそうだが、「OTAN」はNATOのアナグラムで、フランス語だとNATOの略語は「OTAN」なので、この新発売のビールはまさにNATO加盟申請記念ビールと喧伝された。
じつは、フィンランドのビールは、本当においいしい。水がきれいなことがこともあるだろう。いちばんポピュラーなのが、「Karhu」(カルフ)で、 熊のラベルがトレードマーク。軽い味わいのライトビールで、アメリカで言えばバドワイザーに近い。「熊のビール」と呼ばれている。熊に対して「馬」のラベルのビールが「KOFF」(コフ)で、これもライトビール。
これ以外に何種類もあるが、「Lapin Kulta」(ラピンクルタ)「ラップランドの金」は、強めのラガーで、これも本当においしい。
フィンランドの夏の日々を湖水地方で
今度、発売された「Otan olutta」ははたしてどんな味だろうか? 1度味わってみたい。このビールの醸造所がサヴォンリンナということも興味をひかれる。
サヴォンリンナは、森と湖の国(スオミ)フィンランドでもっとも美しいとされる湖畔地方、サイマー湖のほとりにある街だ。フィンランドでも指折りのリゾート地で、短い夏の間、ここで過ごすことは最高の喜びだという。
湖のほとりのコテージで、毎日、ビールとワインとバーベキュー。そして、サウナ。あるときは、森を歩き、あるときは湖を船でクルーズする。そうして、ひと夏を、ほかになにも煩わされることなく過ごす。
今度、夏にフィンランドに行ったときは、ぜひ、湖水地方に行きたいと、私は思っている。はたして、そんなときが訪れるのだろうか?
(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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