第1回 ニューヨーク在住トラベルプランナーの NYたびコラム 〜a chill out day in NYC〜
ブロードウェイ再開
初めまして。長年旅行業界に携わり添乗員時代には世界を旅し、今はニューヨークに腰を据えて日本からのお客様をお迎えしておりますMADOKAと申します。あるご縁からコラムを寄せる機会を頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。
COVID-19という聞き慣れない病が、まさかここまで世界を変えてしまうことになるとは思わなかった2年前の3月、突如としてブロードウェイの灯りが一斉に落ちた日が3月12日。数日前から中国やヨーロッパのニュースを見聞きし、何かとんでもないことが起こっていると感じていました。多くの団体ツアーがキャンセルされていく中、1グループのみがボストンからニューヨークに向かう前日に、ミュージカルチケットを発行しているエージェントから連絡が来ました。「MADOKA、残念だけど明日の全公演はキャンセルだ・・・チケットは払い戻す」申し訳なさそうに話す、いつもは陽気なブラジル出身の彼の暗い声を聞きながら「ついに来てしまった」と私は感じました。そしてその時から時が止まってしまったニューヨークは、約2年の冬眠を経てようやく息を吹き返しました。
その煽動役がやはりブロードウェイ。市がようやく劇場の100%のキャパシティを認めたところから、2度のワクチン証明とマスクをつけるという条件で入場が始まりました。2年ぶりに観た最初のミュージカルは、ヒュー・ジャックマン主演のミュージックマン。彼が学生の頃から憧れていたという役なだけあって、歌、踊り、演技は完璧な上、何より本人が嬉しくて仕方ないというオーラがキラキラしていて、観客も自然と笑みがこぼれてしまう。館内は満席、観客はマスクをしている他は以前のままで、大興奮のままスタンディングオベーションで幕を閉じました。
星の王子様の朗読劇ショーは幻想的で、味わい深く、少しシルクドソレイユを彷彿とさせるロープパフォーマンスに魅入ってしまいました。
プレイでは、007のジェームス・ボンド役で有名なダニエル・クレイグが主役を務めるマクベス。これも現代風にアレンジされており、始まる前からステージの片隅でパフォーマンスが行われるという斬新な演出にも驚かされました。そしてダニエルはため息が漏れるほど美しかったです。
話題の新しいミュージカルもどんどん公演されている中、もうワクチン証明を見せる必要がなくなりマスクのみとなりました。新しい話題のミュージカル、マイケル・ジャクソンのMJや、ティナ・ターナーのTina、SIX、なども観たいリストに並んでいます。できれば1~2カ月に1公演は観てみたい。7月1日からは、マスク着用義務も撤廃されてオプションとなり、確実に日常を取り戻しつつあると感じます。
あの空白の2年間、信じられないほど誰も居なくなったタイムズスクエア。あの静けさからの復興はブロードウェイの活気無くしては語れません。今はオンラインの時代でなんでもネットで済むような生活に慣れてきましたが、やはりライブで観る独特の空気感、観客のざわめき、興奮の伝染、拍手が空気を割るあの一体感、これは劇場に足を運ぶことでしか得られない。
久しぶりに劇場で、魂をあたためませんか?
取材・文/MADOKA
日本発の国内・海外添乗員としての経験を経て、ニューヨークでアウトバウンド、インバウンドの両面から旅行業界に携わる。現在はVIPアテンドを務めながら、グループ専門のB2Bランドオペレーターのニューヨーク支店長として、企画から手配にいたるまで幅広い業務を行っている。大好きなニューヨークを、是非皆さんにも楽しく味わって頂きたい♪
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