連載840 またも「ジェンダーギャップ指数」最下位 「L字カーブ」が示す女性が輝けない日本(上)
(この記事の初出は7月11日)
毎年恒例の世界経済フォーラム(WEF)「ジェンダーギャップ指数」が発表され、日本は今年もまた最下位グループに沈んだままの116位となった。
いったいいつになったら、日本の男女格差は解消されるのだろうか?
日本の場合、深刻なのは、女性の労働の価値が低評価すぎることだ。男女間の賃金格差がありすぎる。そのため、日本の女性雇用者の年代別グラフは、かつての「M字型」から「L字型」となり、世界のどの国にもほぼありえない状況になっている。
今年は116位とまたしても最下位グループ
7月13日、世界経済フォーラム(WEF)は、毎年恒例の男女格差の状況をまとめた「ジェンダーギャップ指数」(2022年版)を発表した。それによると、日本の順位は116位。前年の120位より4位上がったが、最下位グループ
という位置は変わっていない。
しかも、今年はランキング国(調査対象国)が146カ国で、前年の156カ国から10カ国減っている。
「ああ、またか」というため息が聞こえてくるが、本当に、日本の男女格差は深刻だ。
このジェンダーギャップ指数は、男女が平等な状態を100%として、各国の達成率を示しているが、世界全体では68.1%。日本の達成率は65.0%だから、それほどでもないと思う人間もいるが、先進国と呼ばれる国で、こんな低い数値の国は日本だけである。さらに、アジア諸国のなかでも日本は最低ランクだ。
日本の数値が低いのは、とくに政治と経済の分野で、なかでも経済の達成率は56.4%で、ここまで女性の労働に対しての評価が低い国はどこにもない。
どの順位を見ても日本の低指数は深刻
次に、「ジェンダーギャップ指数」の概要を、【上位10カ国の順位とスコア(達成率)】、【G7の順位とスコア(達成率)】、【アジア諸国の順位とスコア(達成率)】の3つに分けて示してみたい。
【上位10カ国の順位とスコア(達成率)】
1位 アイスランド 0.908
2位 フィンランド 0.860
3位 ノルウェー 0.845
4位 ニュージーランド 0.841
5位 スウェーデン 0.822
6位 ルワンダ 0.811
7位 ニカラグア 0.810
8位 ナミビア 0.807
9位 アイルランド 0.804
10位 ドイツ 0.801【G7の順位とスコア(達成率)】
10位 ドイツ 0.801
15位 フランス 0.791
22位 イギリス 0.780
25位 カナダ 0.772
27位 アメリカ 0.769
63位 イタリア 0.720【アジア諸国の順位とスコア(達成率)】
79位 タイ 0.709
83位 ベトナム 0.705
92位 インドネシア 0.697
99位 韓国 0.689
102位 中国 0.682
106位 ミャンマー 0.677
116位 日本 0.650
135位 インド 0.629
世界でもっとも男女平等を達成している国はアイスランドで、その達成率は90.8%と唯一90%を超えている。しかも、アイスランドの1位は、13年連続である。
2位のフィンランド(86.0%)、3位のノルウェー(84.5%)、5位のスウェーデン(82.2%)と、上位には北欧諸国が入り、これも常連化している。
世界でも有名な女性首相の国ニュージーランドの4位も同様だ。特筆すべきは、アフリカ諸国のなかで、6位にルワンダ、8位にナミビアが入っていることだろう。
いずれにせよ、日本はこうした上位グループ国から見ると、はるか後方に位置している。
(つづく)
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※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。
山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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